コラム

ウクライナ戦争に金正恩が「暴風軍団」を派遣...北朝鮮とロシアの接近に中国・習近平が苛立つワケ

2024年10月26日(土)12時11分

英紙フィナンシャル・タイムズ(10月25日付)は「金正恩がロシアのウクライナ戦争を支援するために軍隊を派遣する以前から、北朝鮮の主要な支援国である中国が、金正恩がモスクワとの関係を深めていることに不満を抱いている兆候があった」と分析している。

習主席はソ連・北朝鮮・中国の「北の三角形」が韓国・日本・米国の「南の三角形」と対峙した冷戦初期の再来を何としても避けたいと考えている。習主席はロシアのウラジーミル・プーチン大統領と金正恩の冒険主義には絶対に巻き込まれたくないのだろう。

ロシアへの軍派遣でルビコンを渡る金正恩

米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のビクター・チャ地政学・外交政策部長は「ロシアに軍隊を派遣し、ルビコンを渡る北朝鮮」と題したポッドキャスト(10月23日付)で「金正恩はプーチンが不当な戦争に勝利するよう全力で支援している」との見方を示している。

「122ミリメートル、152ミリメートルの砲弾800万発と弾道ミサイル数十発を送ることに加え、北朝鮮は今年6月に署名したロシアとの相互防衛条項を含む包括的な戦略的パートナーシップ協定の精神に基づく同盟コミットメントを提供している」(チャ氏)

北朝鮮が派遣する部隊がエンジニアか、戦闘部隊かはまだ不明だ。ウクライナ戦争はプーチンにとって存立危機事態であるだけでなく、金正恩にとっても同様だ。国際社会から孤立する金正恩は食糧、燃料、その他の物資を必要としており、中国よりもロシアを頼りにしているという。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

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