コラム

ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将来の「和解は考えられない」と伝記作家が断言

2024年09月14日(土)19時40分
ヘンリー王子夫妻の海外訪問の狙いとは?

Kirsty O'Connor/PA Wire/Pool via REUTERS

<「30歳になるのは不安だったが、40歳になるのは楽しみ」と語ったヘンリー公爵。兄ウィリアムとの和解は遠いと皇太子妃の伝記作家>

[ロンドン発]「30歳になる時は不安だったが、40歳になるのは楽しみだ。いくつになっても、私の使命は世界で存在感を示し、善行を続けることだ。2人の子どもの父親になったことで人生の新たな視点が得られ、仕事の集中力も高まった。人生の大きな喜びの一つだ」

■【写真】ヘンリー&メーガン、以前からバルコニーでの立ち位置は徐々に脇に追いやられていた

順風満帆に見えた英王室の衝撃的な転換点となったのはヘンリー公爵(王位継承順位5位)と元米人気女優メーガン夫人の結婚と王室離脱。ヘンリー公爵は9月15日に40歳の誕生日を迎えるに当たり、英BBC放送のインタビューや声明でこう語っている。

2度目のアフガニスタン派遣任務を終えたヘンリー公爵は30歳になった2014年、負傷した退役軍人向けのスポーツ大会「インビクタス・ゲームズ」を創設した。王室離脱で王立海兵隊総隊長を含む名誉軍職を失った後もゲームズには積極的に関わっている。

「ナイジェリアは私の『母なる国』」とメーガン夫人

今年に入ってヘンリー公爵とメーガン夫人はナイジェリアに続きコロンビアを訪問。5月、ナイジェリアに到着した2人はレッドカーペットの大歓迎を受けた。メーガン夫人は約2年前、遺伝子検査を受け、「自分は43%ナイジェリア人 」と打ち明けている。

同国のクリストファー・ムーサ国防参謀総長が私的な立場で2人を招待し、メーガン夫人は「ナイジェリアは私の『母なる国』」と応じた。8月にはコロンビア初の黒人女性副大統領フランシア・マルケス氏に招かれ、アフリカとのつながりが深い村サンバジリオデパレンケを訪れた。

チャールズ国王は自身のがん、ウィリアム皇太子はキャサリン妃のがん治療で公務が制限される。それだけにヘンリー公爵とメーガン夫人の海外訪問は目立った。2人がネットフリックス新プロジェクトの予告編を公開したのもキャサリン妃のメッセージが公開された100分後だった。

「ハリーとメーガンは信頼の輪の外」と伝記作家

新著『キャサリン皇太子妃:未来の王妃の伝記』を出版したロバート・ジョブソン氏は9月10日、外国人特派員協会(FPA)で質疑に応じ、「最高に悪いタイミングの発表だったが、彼らは単に不運だったんだと思う」との見方を示した。

「ケイト(キャサリン妃の通称)が化学療法の終了を発表することを2人が知っていたとは思えない。ネットフリックスの予告編が発表されたタイミングは偶然だ。ハリー(ヘンリー公爵の愛称)とメーガンは信頼の輪の外にいるから、彼らは知らなかっただけなんだ」

ジョブソン氏は、ヘンリー公爵とメーガン夫人の海外訪問について「2人の立場は明確だ。海外での活動にも取り組むつもりだ。国王とウィリアムが公務を減らしている時にあてこすりをしているように感じる」と批判する。

プロフィール

木村正人

在ロンドン国際ジャーナリスト
元産経新聞ロンドン支局長。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『欧州 絶望の現場を歩く―広がるBrexitの衝撃』(ウェッジ)、『EU崩壊』『見えない世界戦争「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。
masakimu50@gmail.com
twitter.com/masakimu41

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 7
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story