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極右「ドイツのための選択肢」が地方選で「歴史的」勝利...東西の分断はドイツに何をもたらすのか?
テューリンゲン州議会選に向けたAfDの選挙集会(8月31日) Wolfgang Rattay-Reuters
<極右政党「ドイツのため選択肢」(AfD)が東部テューリンゲン州議会選で第1党、ザクセン州議会選で第2党に>
[ロンドン発]ドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)が東部テューリンゲン州とザクセン州の議会選でそれぞれ第1党、第2党になった。他政党はAfDとは距離を置いているため、政権樹立または政権入りする可能性は極めて低い。
テューリンゲン州(定数88)でAfdは32議席(得票率32.8%)でキリスト教民主同盟(CDU)の23議席(同23.6%)を抑え第1党。AfDがドイツの州議会選で第1党になるのは初。ザクセン州(定数120)では40議席(同30.6%)でCDUの41議席(同31.9%)に次ぐ第2党になった。
テューリンゲン州とザクセン州はドイツ再統一で産業構造が転換し、深刻な経済的混乱を経験した。
2013年に反ユーロ(欧州単一通貨)政党として設立されたAfDは2年後の欧州難民危機で大きく右傾化した。そのレトリックや政策が極右過激主義と結びついていることが不安をかきたてる。
「ホロコースト記念碑は『恥ずべき記念碑』」
ドイツの民主主義への脅威を監視する連邦憲法擁護庁(BfV)は昨年、AfDの青年団「ヤング・オルタナティヴ」を極右過激派組織と認定。ザクセン州とテューリンゲン州のAfD支部も極右過激派組織と認定されている。にもかかわらず州議会選で歴史的な大成功を収めたのはなぜか。
テューリンゲン州のビョルン・ヘッケAfD党首はナチス時代のレトリックを使い、極端な民族主義・極右的見解で物議を醸してきた。ベルリンのホロコースト(ユダヤ人大虐殺)記念碑を「恥ずべき記念碑」と呼び、ナチスの過去を「180度逆転」させるよう提唱した。
ヘッケ氏はナチスの準軍事組織ナチスSA(突撃隊)のスローガン「ドイツのためにすべてを」を使用したとして何度も有罪判決を受け、罰金を科せられている。ドイツの裁判所はヘッケ氏を 「ファシスト 」と呼んでも名誉毀損に当たらないとの判決を下している。
ドイツ政治において極右過激主義は常態化した
極右過激派組織としてBfVの厳重な監視下に置かれる中、AfDは6月の欧州議会選(定数96)でも15議席(得票数15.9%)を獲得、キリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)の29議席(同30%)に次ぐ2位につけた。ドイツ政治において極右過激主義は常態化したと言える。
ヘッケ氏は「私たちは歴史的な結果を達成した。まだ若い党の歴史の中で初めてAfDは州議会で最強の勢力となった。私は大きな、大きな誇りと満足感で満たされている」と勝利宣言した。自党抜きの連立政権樹立は「テューリンゲン州にとって良いことではない」と警告した。