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自分で思うほど「偉大な国」でなくなった英国...スターマー新首相が見習うべき古豪サッカークラブの教訓
イギリスのキア・スターマー首相(2024年7月) Jakub Porzycki via Reuters Connect
<新首相に就任したイギリスのキア・スターマー氏は、衰退し続けるこの国の現実を直視しなければならない>
[ロンドン発]定数650のうち412議席を占める大勝利で14年ぶりに政権を奪還した英国のキア・スターマー首相(労働党)は地味で生真面目。欧州連合(EU)強硬離脱を主導した「政界の道化師」ことボリス・ジョンソン元首相(保守党)とは北極と南極ほど正反対の政治家だ。
スターマー氏の伝記を出版したジャーナリストで元労働党上級顧問トム・ボールドウィン氏は7月11日、ロンドンの外国人特派員協会(FPA)で記者会見し、男子サッカー・イングランド代表のガレス・サウスゲート監督とスターマー氏を比較してみせた。
「2024年欧州選手権でイングランドはオランダを破り、海外で初の決勝進出を果たした。『慎重すぎる』『やる気がない』と批判されがちな現実的なリーダーシップが良い結果を出した。サウスゲート監督もスターマー首相も勝ち方を知っている指導者だ」
ちっぽけなサッカークラブの果たす役割
「2人とも(ジョンソン氏のように)目立ちたがり屋ではない。政治もサッカーももっとドラマチックで、もっとスペクタクルであってほしいと願う人たちから彼らは常に批判されることになると思う。なぜこの比喩が効果的かと言うとスターマー氏は本物のサッカーファンだからだ」
ボールドウィン氏によると、スターマー氏は生涯にわたってサッカーをプレーしてきた。子供の頃から、自分の人生を軌道に戻すためサッカーを使ってきた。スターマー氏の父親は偏屈な性格で、家で子どもにテレビを視るのを許さなかった。
学校でテレビの話題に加われなかったスターマー氏はサッカーをしようと友だちを誘った。彼はビクトリア時代のように堅苦しい英国人で、集団主義的だ。ちっぽけなサッカークラブが英国で果たしている役割を理解しているスターマー氏は選挙期間中に11のサッカークラブを回った。
「レクサムへ、ようこそ」
あまり誇りを持てないコミュニティーでサッカークラブが果たす役割にスターマー氏は興味を示す。「レクサムへ、ようこそ」という米国のTVドラマシリーズをご存知だろうか。ウェールズの旧炭鉱街にある名門クラブ、レクサムA.F.C.を2人のハリウッドスターが買収する。