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自分で思うほど「偉大な国」でなくなった英国...スターマー新首相が見習うべき古豪サッカークラブの教訓
1864年に創設され、世界で3番目に古い伝統を持つレクサムA.F.C.は炭鉱の閉鎖とともに苦境に立たされ、イングランドの5部リーグを低迷していた。TVシリーズはクラブの苦闘と快進撃、選手とクラブ、コミュニティーを温かいタッチで描き出し、サポーターを世界中に広げていく。
産業革命で栄華を極めた後、衰退し続ける英国にはレクサムのように落ちぶれた街とちっぽけなサッカークラブがたくさんある。スターマー氏に課せられた仕事はクラブの復活を通じてレクサムというコミュニティーに活気を取り戻した2人のハリウッドスターと同じなのだ。
英国は自分で思っているほど偉大ではなくなった
まず資本、マネジメント力、タレントが必要だ。その3つが核となってコミュニティーも次第に元気を取り戻していく。スターマー政権には統計だけでなく、現実生活の中で人々に貢献する方法を見つける必要があるとボールドウィン氏は指摘する。
「スターマー政権には経済成長を非常に早く達成しなければならないという緊張感がある。しかしそれは長期的な目標や技能、インフラ、産業計画に関わっている。ジョー・バイデン米大統領、オラフ・ショルツ独首相は素晴らしい政策を実施しているが、人々はそれを感じていない」
旧敵・保守党と地域政党・スコットランド民族党(SNP)を打ち破ったスターマー氏にはポピュリストの極右政党「リフォームUK」(改革英国)との新たな戦いが待ち受ける。そしてガザでの戦争、中国の台頭、気候変動、トランプ2.0の可能性、ウクライナ戦争という外患もある。
「英国は自分で思っているほど偉大ではなくなった」ことを自覚することから始めるべきだと筆者は考える。しかし欧州連合(EU)との間でヒト・モノ・カネ・サービスが停滞したままでは瀕死の英国経済を立て直すのは至難の業だろう。
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