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テクノロジーでスポーツは激変...それでもメッシは、「主役はやはり人間」と証明した
ところが、人間の思考や学習方法を模倣して設計されたディープニューラルネットワークが登場してから状況は激変する。今では顔認識監視システムのほか、iPhoneの顔認証、Googleの画像検索などが日常生活の中に普及するようになった。サッカーもその例外ではなかったというだけだ。
マシーンに感情は介在しない。グループリーグの対ウルグアイ戦でポルトガルのブルーノ・フェルナンデスのクロスボールにクリスティアーノ・ロナウドが触れていなかったと判定され、最先端テクノロジーによって裏付けされた。テクノロジーはロナウドの偉大さや尊大さは全く斟酌しない。それがマシーンの長所でもある。
しかしAIやビッグデータが予測するのは平均的な答えだ。学習するデータが無限大に増えれば、AIが複雑怪奇な人間の感情を理解する日がやって来るのだろうか。今のところウクライナに侵攻したロシアのウラジーミル・プーチン大統領や返り咲きを目指すドナルド・トランプ前米大統領がいま何を考えているか、次に何をするかはAIにも分からないようだ。
すべてを手に入れたメッシやムバッペがなぜ、あんなちっぽけなW杯に熱狂するのか。そこに人間が存在する意義と素晴らしさが秘められている。