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いまだ不人気のチャールズ国王だが、地球規模の気候変動対策「推進役」には適任だ
「マグナカルタ(大憲章)」に倣った「テラカルタ(地球憲章)」
チャールズ国王はCOP27 に出席するための準備はすべて整っており、出席できなくても、どのように存在感を示すか、活発な議論が引き続き行われているとサンデー・タイムズ紙は伝えている。COP26で議長を務めたアロク・シャーマ元英ビジネス・エネルギー・産業戦略相はトラス氏とともにチャールズ国王がCOP27に出席することを求めている。
チャールズ国王は昨年、環境に優しい取り組みに投資するよう企業を説得することを目的とした自身の持続可能な市場構想の指針「テラカルタ(地球憲章)」を発表した。国王の権限を制限し、人々の基本的な権利と自由の信念をうたった1215年の「マグナカルタ(大憲章)」にならっている。
人類の行動を制限して自然に基本的な権利と価値を認め、人類と地球の調和を目指そうという画期的なアイデアだ。しかし先の保守党大会を取材していて気味が悪かったのはトラス氏の背後にいる欧州連合(EU)強硬離脱派のリバタリアンが市場原理主義に基づく温暖化対策を唱えていたことだ。
彼らは「ネットゼロ(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)を精査するグループ」を立ち上げた。一部のメンバーは「2050年までにネットゼロを達成するという政府の計画は常識外れの夢想に過ぎず、労働者により寒く、貧しい生活を強いる」と主張している。チャールズ国王の「テラカルタ」はこうしたリバタリアンの市場原理主義とは相容れない。
「トラス氏は完全に間違っている」
気候変動では「負の外部性(経済活動が第三者に有害な影響を与えること)」が発生するため、規制という政府の介入が不可欠になる。市場原理主義を貫けば英国の温暖化対策は後退する恐れがある。このため政府が50年までに「ネットゼロ」を達成するという脱炭素化の目標を弱めるか、放棄するのではないかとの疑念が膨らんでいる。
気候変動がもたらす人類の大移動に警鐘を鳴らした著書『ノマドの世紀』を出版した英国の環境ジャーナリスト、ガイア・ヴィンス氏は筆者の質問にこう答えた。
「トラス氏は完全に間違っている。チャールズ国王はCOP27に行って演説すべきであることは明白だ。私はロイヤリスト(王室支持派)ではないが、国王は影響力のある地位にある。私たちはさまざまな層にこの問題の緊急性をアピールできる人が必要だ。コミュニケーションを一番上手く取れる人が行くべきだ」
トラス氏が首相官邸を去るのは時間の問題になってきた。トラス氏とその背後にいる狂信的リバタリアンたちは英国を文字通り、壊しつつある。彼らは英国だけでなく、世界にとっても有害であることはもはや覆い隠せなくなっている。