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いまだ不人気のチャールズ国王だが、地球規模の気候変動対策「推進役」には適任だ
大学卒業後、保守党に転じ、首相の座を射止めたトラス氏は女王の死去に際し「近代英国の礎」と業績を称えたが、チャールズ国王との間には早くも波風が立っている。英日曜紙サンデー・タイムズによると、国王はトラス氏に引見した際、シャルムエルシェイク(エジプト)での国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に出席しないよう釘を刺された。
長年にわたる環境問題の活動家として知られるチャールズ国王は昨年11月、自国の英北部スコットランドで開催されたCOP26のオープニング・セレモニーで「世界の意思決定者が貴重な地球を救い、危機に瀕した若者の未来を救うために力を合わせられるよう、違いを克服する現実的な方法を見出すことを強く求める」と呼びかけ、喝采を浴びた。
「君臨すれども統治せず」の原則
「人口増により地球の有限な資源への需要が高まる中、早急に温室効果ガスの排出量を削減し、石炭火力発電所を含む大気中の炭素に対処する必要がある。炭素に値を付け、炭素を回収する解決策をより経済的にすることが重要だ。自然資本の回復、自然に基づく解決策の加速、循環型バイオエコノミーの活用は私たちの努力に不可欠だ」(チャールズ国王)
英王室は「君臨すれども統治せず」の原則に基づき、政治とは明確な距離を置いてきた。しかしチャールズ国王は伝統を破り、特に環境問題では「私たちはいつの間にか、自然との適切な関係を放棄している」「気候変動は、私たちの存在に関わるあらゆる危険と緊張を増大させる」などと積極的に発言してきた。京都議定書に続くパリ協定も強力に後押しした。
カミラ王妃との不倫でダイアナ元皇太子妃を悲劇の淵に追いやったチャールズ国王の人気はいまだ回復しない。王位継承行事でも短気なところを見せたが、英名門ケンブリッジ大学を卒業しただけあって才気煥発で、マネジメント能力にも優れている。英国を含め英連邦56カ国、人口25億人に影響力を行使できる立場にあるだけに当然COP27にも招待されていた。
王室関係者はサンデー・タイムズ紙に「国王がCOP27に招待されたことは不思議なことではない。国王は最初の外遊のためにどのようなステップを踏むか非常に慎重に考えなければならなかった。国王は11月6~18日に開催されるCOP27に出席するつもりはない。政府の助言に基づいて行動するという君主の精神に完全に則ったものだ」と説明した。