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いまだ不人気のチャールズ国王だが、地球規模の気候変動対策「推進役」には適任だ
トラス英首相にCOP27出席を止められたチャールズ英国王(筆者撮影)
<英経済に大混乱を招いたトラス首相はチャールズ国王のCOP27出席に反対しているが、国王は地球憲章の提唱など、環境問題については積極的に発言している>
[ロンドン発]財源なしの大型減税策で市場を大混乱させ、早くも与党・保守党内から退陣論が噴き出しているリズ・トラス英首相が10月12日、週に1度の国王謁見のためバッキンガム宮殿を訪れた。トラス氏が「国王陛下、またお会いできるのをうれしく、光栄に思います」と膝を軽く折って片足を後ろに引くカーツィー(君主に対するお辞儀)をした。
チャールズ国王は冗談とも本気ともつかぬ口ぶりで「戻ってきたんだね。やれやれ。とにかく...」と部屋に招き入れた。首相就任から40日もしないうちにトラス氏は崖っぷちに追い込まれている。目玉政策だった「富裕層への最高税率45%廃止」に続き、成長戦略の柱となる「法人税率の19%から25%への引き上げ白紙化」についても撤回を余儀なくされた。
通貨安、債券安、株安のトリプル安の引き金となったミニ予算が保守党内の造反で議会承認されない可能性が膨らんでいる。クワジ・クワーテング財務相は「われわれの立場は変わらない」と強がって見せたが、国際通貨基金(IMF)のクリスタリナ・ゲオルギエバ専務理事からミニ予算の撤回を諭され、就任39日目を迎えたトラス氏から引導を渡された。
財務相にボリス・ジョンソン前首相と対立したジェレミー・ハント元外相・保健相が任命されたが、週明けの市場が落ち着くかどうか。財政も赤字、経常収支も赤字の国が中央銀行との政策協調(資産購入)なしに財政を拡張すればどうなるか、それすらトラス氏は理解できなかった。経済オンチの彼女にお引き取り願ってハント氏を暫定首相に担ぐ動きもある。
王室廃止論者だったトラス氏の助言
エリザベス女王の死去2日前の9月6日に女王から首相に任命されたトラス氏は英名門オックスフォード大学の自由民主党支部で活動していた頃、王室制度を廃止して共和制への移行を唱えた。「パディ・アシュダウン(当時の自由民主党党首)が英国の万民が何者(国家元首)かになる権利を持つべきだと言ったのは正しい」。19歳のトラス氏はこう力説した。
まだ、ふっくらとしていたトラス氏は「英国ではたった一つの家族だけが国家元首になることができる。自由民主党は万人が等しく機会に恵まれ、憲法に関わる主要事項を国民投票にかけることを支持している。私たちが中流市民に王室制度に対する意見を聞いたところ、何と答えたか想像できる? 『もうたくさんだ、廃止しろ』ってね」と聴衆に訴えた。