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早くも破綻したトラス英首相の「富裕層のための減税」政策は、日本経済の近未来像か
「トリクルダウン経済学は上手く行かない。金持ちをより金持ちにしても英国が良くなるわけではない。本当の問題は低賃金で不安定な仕事をあまりにも多く作りすぎていることだ」
「価格上昇で莫大な利益を得ているエネルギー大手BPのトップは、エネルギー危機では同社は『キャッシュマシン』になると言ったが、そのお金は労働者から吸い上げられている。私は安普請の住宅で育った。だからインフレの感覚はよく覚えている。請求書が払えずに電話が切られた。生活費を稼ぐのがいかに大変だったか、簡単なことではなかった」
「しかし『一生懸命働けば何でも達成できる、英国で公平な機会を得ることができる』という不文律があった。今は一生懸命に働いても、家族に安心感を与えることすらできない。子供たちが自分たちより良い人生を送れないことを心配している家族の姿は英国という国の現実を物語っている」とスターマー氏は言う。
公有の再生エネルギー会社を設立
スターマー氏は「2030年までに100%クリーンな電力を供給する」と宣言した。「陸上風力発電を2倍に、太陽光発電を3倍に、洋上風力を4倍にし、潮力、水素、原子力に投資する。100万人以上の新規雇用を創出できる」。公的資金で再生可能エネルギー会社「グレート・ブリティッシュ・エナジー」を設立し、公有化する。利益は再投資に回される。
「クリーンな電力の機会を活用する新会社だ。雇用や成長を生み出し、ウラジーミル・プーチン露大統領のような暴君へのエネルギー依存を解消する」と力を込めた。フランスで完全に国有化され、英国で1万人以上の雇用を生み出す仏電力会社EDFがモデルだという。脱炭素経済への移行で、より公正で公平な社会を目指す。
スターマー氏を支えるレイチェル・リーブズ影の財務相も26日「私たちは国家緊急事態に直面している。エネルギー価格は上昇し、食料の値段も上がっている。賃金はそれに追いつかない。富裕層減税、バンカーのボーナス引き上げで毎年500億ポンド以上の国債が積み上げられる。すべてのコストを借金に転嫁する無謀な決断のせいだ」とトラス氏を攻撃する。
すでにインフレが進み、金利が上昇する中、トラス政権は1972年以降どの予算よりも多くの借金を一挙に積み上げたとリーブズ氏は指摘する。「市場からのメッセージは明確だ。輸入コストが上昇し、物価が上昇する。政府の借入れコストは上昇し、国債の利子を支払うために多くの税金が使われる」と懸念を示す。