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サハリン2の権益を失うか...弱い立場の日本はウクライナ戦争「最大の敗者」に?
Sergei Karpukhin-REUTERS
<プーチンが、ロシア政府による実質的なサハリン2の「接収」を命じる大統領令に署名。いち早く撤退を表明していたシェル社と日本勢の差はどこにあったのか?>
[ロンドン発]ウラジミール・プーチン露大統領は6月30日、ロシアに新会社を設立し、極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」の事業主体「サハリンエナジー」のすべての権利と義務を移管するよう命じる大統領令に署名した。新会社の財産は直ちにロシア政府の所有下に移される。ウクライナを攻めあぐむプーチン氏が「ガス戦争」を激化させた格好だ。
2008年以降、出荷を開始したサハリンエナジーはサハリン北部の油田より原油を生産、原油生産能力は日量15万バレルに達する。ガス田より産出する天然ガスの液化も行っており、年間960万トンのLNG(液化天然ガス)生産能力を有する。LNGの約6割を日本に供給しており、わが国にとってエネルギー安全保障上の意義は大きい(三菱商事)。
株主は露天然ガス独占企業ガスプロムが50%+1株、英エネルギー大手シェル(旧ロイヤル・ダッチ・シェル)が27.5%-1株、三井物産12.5%、三菱商事10%。シェルはロシア軍のウクライナ侵攻を受け、2月28日にサハリン2を含むガスプロムおよび関連企業との合弁事業から撤退すると発表した。
シェルのベン・ファン・ブールデン最高経営責任者(CEO)は「欧州の安全保障を脅かす無意味な軍事侵略行為により、ウクライナで人命が失われたことに衝撃を受けており、これを遺憾に思う」と述べ、3月8日には「英政府の新たな指針に沿って、原油、石油製品、ガス、LNGを含むロシアのすべての炭化水素への関与から段階的に撤退する」と表明した。
西側の結束に苛立ちを募らせるプーチン氏
主要7カ国首脳会議(G7サミット)が6月26日から3日間にわたりドイツ南部エルマウで開かれ、「財政的・人道的・軍事的・外交的支援を引き続き提供する。ウクライナの軍備増強のため資材・訓練・兵站・インテリジェンス・経済支援を提供するため引き続き調整する」との声明を発表した。西側のウクライナ支援が継続すればロシア軍は撤退を余儀なくされる。
これに苛立ちを爆発させた格好のプーチン氏は27日、ウクライナ中部ポルタワ州クレメンチュクのショッピングモールを長射程空対艦ミサイルKh-22で攻撃した。少なくとも18人が死亡、21人が行方不明になり、59人が負傷した。首都キーウも26日にミサイル攻撃を受け、1人が死亡、6人以上が負傷した。