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30歳未満、特に女性はアストラゼネカ製ワクチン接種には細心の注意を 血栓症・血小板減少のリスク
アストラゼネカの新型コロナワクチンの空き瓶(アントワープ、3月18日) Yves Herman-REUTERS
<接種者100万人に4人弱の血栓症、なかでも20代では深刻な副反応が11人に増える>
[ロンドン発]血栓症を誘発する恐れが指摘されている英オックスフォード大学と英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルス・ワクチン(AZワクチン)について、英医薬品・医療製品規制庁(MHRA)は7日、血栓症が発生する割合は接種者100万人に4人弱だとしてAZワクチン接種のベネフィットはリスクをはるかに上回るとの立場を維持した。
しかし20~29歳では深刻な副反応は約11人に増えるため、感染が収まっている状況ではリスクがベネフィットを上回ると指摘。英予防接種合同委員会(JCVI)は同日、30歳未満に対しては可能な限り、AZワクチンの代わりにm(メッセンジャー)RNAテクノロジーを利用する米ファイザー製、モデルナ製ワクチンを使用するよう勧告した。
すでに欧州連合(EU)加盟国ではAZワクチンの安全性や有効性に対する懐疑論が強まっているため、今回の30歳未満への接種制限はワクチン接種をさらに滞らせる恐れがある。
イギリスではコロナ感染者は436万人を超え、14万9千人以上が死亡。このため3170万人がワクチン接種を受け、このうち373万9千人が2回目の接種も済ませた。ワクチンはコロナ感染による重症化と入院リスクを劇的に減らすため、イングランド公衆衛生サービス(PHE)は今年1~3月だけで少なくとも6千人の命がワクチン接種により救われたと評価する。
しかしAZワクチンの1回目接種直後、血栓症と血小板減少が同時に発生するという極めてまれな有害事象が相次いだ。このためMHRAは血小板減少を伴う脳静脈洞血栓症(CVST)の症例を徹底検証。その結果、3月末までにAZワクチンは2020万回接種され、血栓症79例を確認、うち44例が血小板減少を伴うCVST、35例が血小板減少を伴う他の主要静脈の血栓症だった。
79例のうち19人が死亡(女性13人、男性6人)、11人は50歳未満で、うち3人は30歳未満だった。19人のうち14人は血小板減少を伴うCVSTで、5人は血小板減少を伴う血栓症だった。性別では女性51人、男性28人(18~79歳)。男性よりも女性の方がAZワクチンの接種を受けた直後、血栓症と血小板減少が同時発生するリスクが大きくなっていた。
ファイザー製やモデルナ製に血栓症・血小板減少の兆候なし
これに対してファイザー製、モデルナ製ワクチンでは血栓症と血小板減少が同時に起きる兆候はこれまで報告されていない。MHRAが記者会見で使ったスライドを見ておこう。コロナ感染が落ち着いている状況では10万人当たりのAZワクチン接種による深刻な副反応は20~29歳で1.1人と、集中治療室(ICU)で治療を受ける割合(0.8人)を上回ってしまう。
しかし、それ以外の年齢層ではいずれもベネフィットがリスクを上回る。感染の広がりが中程度や感染が拡大している状況ではすべての年齢層でベネフィットがリスクを上回っている。