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ワクチンが灯した「希望」を「絶望」に変えた南ア変異株 イギリスはローラー検査でシラミ潰し作戦を開始
マット・ハンコック英保健相は1日の記者会見で「南ア変異株がより深刻だという証拠はないが、必死に追い詰めなければならない」と表情を変えた。これまで英国内で南ア変異株は105例見つかり、このうち11例が南ア渡航者とのつながりが全くない市中感染だった。
南ア変異株は英変異株と同様、感染力が強い上、現在のワクチンを回避することが臨床試験や研究室の実験で確認されている。見つかったリンク切れの感染者は11例だが、実際の感染者はその20倍に達する。このため11例が見つかった8地域計35万人を対象に2週間以内に戸別検査を実施する。
ロンドン周辺のNHS病院関係者は「該当する地域で暮らす医療従事者の出勤は停止され、自宅での唾液検査で陰性が出たら、病院で改めて精度が高いPCR検査を受け直すようになった。救急搬送されてきたコロナ患者が2~3日で亡くなるケースが目立つ。死者の中には50代の人もいる」と打ち明ける。
病院はコロナ患者であふれ返り、今年に入って看護師が3人立て続けに亡くなった。この関係者は「ワクチンの集団予防接種で先行するイスラエルで60歳以上の接種者の陽性率がわずか0.07%に落ちたことが一筋の光明だが、目の前でその希望をかき消す南ア変異株が広がっている」と表情を曇らせた。
感染者383万人、死者10万6500人を突破し、欧州最大の被害を出したイギリス。昨年4月には1日人口1千人当たり0.26件(日本は同0.02件)の検査能力しかなかった。ドイツは同0.68件と高かったため、イギリスは検査能力を拡大。現在は同9.06件と日本(同0.52件)の17.4倍の検査能力を有する。
イギリスは陽性例のうち5~10%のゲノムを無作為に調べており、昨年12月、感染力が強い英変異株がロンドンなどで爆発的に広がっていることを確認。今度はその英変異株のうち11例が南ア変異株と同じ突然変異を起こしていることを突き止めた。
リバプールでも南ア変異株と同じ突然変異を持つ32例を見つけた。コロナの突然変異は底知れない不気味さを広げている。
英レスター大学のジュリアン・タン名誉准教授(臨床ウイルス学)はこう語る。「都市封鎖を含めた社会的距離政策をより厳密に守らなければ、ウイルスが広がり続けるだけでなく、進化する恐れすらある。イギリスの地域社会が複数の異なる変異種のるつぼになるかもしれない」
ナオミさんは東日本大震災が起きた2011年当時も、肝機能不全で白血球が減少し、体調を崩していた。震災で自宅が全壊した被災者から「音楽で被災者を救って」とメッセージが寄せられ、一緒に歌詞を書いた。それがきっかけになり被災地やロンドンでチャリティー・コンサートを100回以上開いた。
今年、あの震災から10年になる。ナオミさんは3月11日、夏木マリさん、小柳ゆきさん、矢井田瞳さんらと音楽の配信イベントを行う。メッセージは「私たちは忘れない(We will never forget you)」。ナオミさんは「私自身、被災地と関わることで生かしてもらった。絶望ではなく、希望を伝えたい」と意気込む。
希望の鐘が鳴り響く日が再び世界に訪れることを信じて。