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ついにEUを離脱したイギリスの「脱欧入亜」に現実味
5G基地局設備はファーウェイ、エリクソン、ノキアの3社が8割近いシェアを占める。基地局設備の供給は垂直統合され、新規参入は難しい。しかし携帯電話のグローバルオペレーターであるボーダフォンやO2はオープン化によるコスト削減を切望していた。
NECはエリクソンやノキアの寡占を打ち破るため、NTTドコモや楽天モバイルで実績を築いた「O-RAN」を持ち込んだ。しかもイギリスの中でも取り残されるウェールズでシステムを実証して、EU離脱を機に地域の経済格差解消に取り組むジョンソン政権の心をわしづかみにした。
日本とイギリスは昨年、包括的経済連携協定(日英EPA)を結び、今後、高度人材の交流も可能になる。さらにイギリスは環太平洋経済連携協定(TPP)加盟を望んでおり、アメリカもバイデン政権に移行すればTPP復帰の芽が出てくる。EU離脱で自由を得たイギリスはTPPを足掛かりに「脱欧入亜」を一気に進めてくるはずだ。
NECの成功例を見習いつつ、日英EPAやTPPをプラットフォームに金融や環境、データ、テクノロジーの連携を強められるかが、日系企業が21世紀を生き抜けるのかの鍵を握る。ライバルはシンガポールと韓国だ。このチャンスを逃す手はない。
<本誌2021年1月19日号掲載>