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マクロンは「フランスのサッチャー」になれるか 鬼門の労働市場改革
マクロンを批判するプラカード Masato Kimura
[パリ発]「マクロンは王様、フランス最後の絶対君主ルイ16世と同じ」「私はあなたの言う通り、怠け者よ」――エマニュエル・マクロン仏大統領(39)がフランス再建の目玉に掲げる労働市場改革に反対する全国一斉の抗議行動が9月12日、パリ、マルセイユ、トゥールーズ、ニースなどで行われ、大勢の労働者や市民が街頭に繰り出した。
パリでの抗議活動 Masato Kimura
フランス最大の影響力を持つ労組連合、フランス労働総同盟(CGT)が鉄道労働者、学生、公務員らに約4000のストライキと180の抗議行動を呼びかけた。パリでは50~80%の交通網が影響を受けた。格安航空のライアンエアーもフランスで離発着する110便を欠航にした。
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仏内務省によると、デモ行進に参加したのは約22万3000人で、13人を逮捕。一方、CGTの発表では参加者は計約40万人。フランソワ・オランド前大統領が行った昨年の労働法改正に対する抗議活動はもっと大規模(警察発表で39万人)で、今回はストライキの広がりも限定的だった。
一部で発煙筒がたかれたが、平和なデモ行進が続いた Masato Kimura
パリでは、参加者の一部がスネにレガースを当て、発煙筒を配り、警戒の機動隊も万全の配置を整えていた。今日も荒れるのかと少し身構えたが、拍子抜けするほど平和なデモ行進が4時間も続いた。
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マクロンは自分の労働市場改革に反対する人たちを「怠け者、皮肉屋、過激派」と呼び、反感を買った。「私は怠け者です」と、マクロンの傲慢な物言いを批判するプラカードが目立ったのは、そのせいだ。
強硬な組合との対決はこれから
イギリスの首相マーガレット・サッチャーが騎馬警官隊まで繰り出し、政権をひっくり返すほど絶大な力を持っていた全国炭坑労働組合を粉砕したように、マクロンは強硬なCGTをねじ伏せて、労働市場改革を断行できるのか。第1ラウンドは双方、全面対決を避け、様子を見ているような印象を受けた。
上は欧州連合(EU)統計局のデータをもとに作成した若年労働者の失業率だ。日本やドイツ、イギリスに比べ、フランスは20%超と高止まりしたままだ。これがフランス経済の病巣を物語る。フランスでは既存労働者の権利が守られ過ぎているため、労働コストが高くなり、企業は新規採用に対して慎重になる。
マクロンは経済相だった2015年、いわゆる「マクロン法」をまとめ、日曜・深夜営業の拡大、長距離バス路線の開設自由化を認め、経済を活性化させた。しかし、左右両派から強い抵抗にあい、中道勢力を結集する運動「前進!」を立ち上げるきっかけとなった。