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ブレグジットがもたらすカオス 最初の難関は600億ユーロの離脱清算金
しかしドイツ政財官界は「イギリスの市場は小さい。サプライチェーンを支える単一市場の存続こそドイツの利益」と態度を硬化させている。大陸側の見方は予想以上に厳しいのが現実だ。
EU首脳は、強硬姿勢
イギリスのシンクタンク、王立国際問題研究所(チャタムハウス)の9カ国調査では、イギリスとの離脱交渉で妥協してでも緊密な関係を保つべきと答えたのはドイツ13.9%、フランス17.2%と低く、一番多いハンガリーでも40.2%にとどまった。
第一次大戦と第二次大戦の廃墟から築き上げた平和と繁栄は欧州大陸の人々にとっては至高のプロジェクトで、それに損得勘定を優先させて背を向けたイギリスは身勝手以外の何物でもない。欧州の有権者は、イギリスに対するEU首脳の強硬姿勢を強く支持しているのだ。
ドイツ首相メルケル Masato Kimura
「交渉では私たちの関係をいかに清算するかを最初にはっきりさせなければならない。この問題が片付いてからでないと将来の関係を話し合うわけにはいかない」(ドイツの首相メルケル)。「ハードブレグジット(単一市場からも離脱)の代案になるのはEUから離脱しないことだ」(EU大統領トゥスク)
EU大統領トゥスク Masato Kimura
イギリスのEU離脱をめぐる政治日程を確認しておこう。
■2017年
3月29日 イギリスがEUのトゥスク大統領に正式に離脱交渉の開始を通告
4月23日 フランス大統領選第1回投票、EU離脱国民投票の実施を公約にする右翼ナショナリスト政党「国民戦線」党首マリーヌ・ルペンと中道政治運動「前進!」の前経済産業デジタル相エマニュエル・マクロンが決選投票に進む見通し
4月29日 イギリスを除く27カ国でEU首脳会議を開催。欧州委員会にイギリスとの交渉を任せることで合意へ
5月7日 フランス大統領選の決選投票。世論調査の結果通りマクロンが勝てば、ブレグジット交渉はイギリスにとって厳しくなる。ルペン大統領が勝てばEUは崩壊に向かう恐れ
5~6月 離脱交渉の開始
9月24日 ドイツ総選挙で首相メルケル率いるキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が4選を果たすかどうかが最大のポイント。ライバルの社会民主党(SPD)は前欧州議会議長シュルツが党首になってからメルケルを追撃するが、3月26日のドイツ南西部ザールラント州議会選ではCDUが勝利を収める
秋 メイ政権がEUを離脱してすべてのEU法を国内法に落とし込む法整備に着手
2018年
10月 離脱交渉を終了
10月~ イギリス議会、EU首脳会議、欧州議会がイギリスとEUの離脱交渉の結果について採決を行う
2019年
3月 イギリスがEUから離脱