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英国のEU離脱問題、ハッピーエンドは幻か
ロンドン名物の黒塗りタクシー「ブラックキャブ」の運転手は、配車サービス「ウーバー」の移民ドライバーに客を奪われ、怒りを露わに「離脱」を唱えている。バングラデシュ料理店のオーナーはEUから離脱すれば、祖国から調理人を呼び寄せる枠が確保できると算盤を弾く。
就労時間が保証されず、雇用主が必要とする時にだけ働く「ゼロ・アワー」という雇用契約で、仕事もないのに念のため自宅で待機させられる低賃金労働者や、失業者の恨み。緊縮財政で社会保障費を削られた人々の怒りが噴き出している。自由貿易と過当競争の憎きシンボルが「移民」であり、誰が英国人なのかを問うナショナリズムと、アイデンティティーによる排外主義に英国は絡め取られている。
グローバル化とデジタル化、欧州統合は思っていた以上に多くの敗者を生み出していた。労働党のブレア元首相が唱えた市場主義と福祉政策を両立させる「第三の道」を推進したブラウン前首相も、マンデルソン元ビジネス・イノベーション・技能相も「自由貿易と移動の自由が経済成長と雇用を創出する」としてEU残留を訴えている。
マンデルソン氏に「グローバル化と欧州統合は豊かな者をより豊かに、貧しき者をより貧しくした。どのようにして格差を埋めるつもりか」と質問すると、「自由貿易経済だけを推進すると格差は拡大する。同時に富や所得の再配分のため社会民主主義的な政策が必要だ。それこそ中道左派に求められる挑戦だ」と答えた。