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英国のEU離脱問題、ハッピーエンドは幻か
政策が見つからない
しかし、その政策が見つからないのだ。英国における格差を調べている民間団体「The Equality Trust」によると、1938年には富裕層のトップ10%が所得全体の34.6%を占めていたが、79年には21%まで下がった。それがグローバル化と東西冷戦に終結によって再び30%台にまで膨らんだ。
2013~14年、最上層の20%が所得全体の40%を占めた。
富は最上層の20%に64%が集中し、最下層の20%はゼロという惨状である。
スコットランド出身のブラウン前首相は世界金融危機で協調的な金融緩和と財政出動を唱え、世界経済を救ったとノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン氏から称賛された。スコットランド独立の国民投票では、「スコットランドの未来のために英国に残留すべきだ」と熱弁をふるい、独立に傾きかけた地元世論を押し留めた。
そのブラウン前首相が7日、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで講演した。
Masato Kimura
「英国の小説家アンソニー・バージェスの『時計じかけのオレンジ』は米国で出版された際、最終章の21章が削除された。スタンリー・キューブリックにより映画化された時も21章はなかった。20章は悲観に落ち込み、21章は楽観へと展開していく。私たちは今、20章に直面しているが、最終章を自らの手で押し開くべきだ」
しかし英国だけではなく、欧州も悲観の暗雲に覆われ、光が見えなくなっているのが現状だ。