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英国のEU離脱問題、ハッピーエンドは幻か
離脱派のバスと支持者 Darren Staples-REUTERS
欧州連合(EU)にさらに権限を委譲すべきだと答えた英国人はわずか6%、それに対してEUから権限を取り戻すべきだと回答したのは65%――英国のEU残留・離脱を問う国民投票を約2週間後に控え、こんな衝撃的なアンケート結果が米ピュー研究所から発表された。(6月7日)
EU加盟国のうち10カ国を選んで行われた調査では、EUに最も好感を抱いているポーランドやハンガリーでさえ、EUへのさらなる権限委譲には各9%、17%しか同意せず、各38%、40%がEUから権限を取り戻すべきだと考えていた。
EUに幻想を抱く人より幻滅を感じる人が2008年の世界金融危機とその後の欧州債務危機を境に欧州全体で急激に増えている。英国と欧州、いや世界の歴史を変える運命の投票日が近づくにつれ、英国内では悲観論が強まっている。日に日に暗雲が広がっているという印象だ。
世論調査会社Yougovは国民投票の投票率が結果に及ぼす影響をシミュレーションしている。昨年の総選挙で予想が大きく外れた反省から、残留に投票するとみられるものの世論調査には答えない穏健な中道右派「Shy Tory」を念頭に残留派に4ポイント分上乗せする念の入れようだ。
投票率が100%なら残留52対離脱48。ウェートをそのままにして投票率を下げていくと70%で50対50、53%になると49対51で離脱派がリードする。若者や中間管理職以上の投票率が上がれば残留の可能性は高まるが、非常に拮抗していることが分かる。
自分さえよければいい
政治家の討論や政策ではなく、有権者の年齢層、社会階級、学歴、住んでいる地域によって残留派と離脱派の母数はすでに決まっているようだ。あとはどちらのサイドからどれだけ多くの人が投票に行くかどうか。国民投票を前に英国社会は柔軟性を失い、完全に思考停止に陥っている。