インタビュー:ドル円は120円台が実力か、日本株長期保有に税優遇検討=自民・片山氏

自民党金融調査会長を務める片山さつき参院議員はロイターの取材に応じ、「ドル/円は120円台の時期が長かったので、120円から130円、120円台が実力との見方が多い」と述べ、物価高の沈静化に向け円高進行が望ましいとの見解を表明した。円高実現の手段として金融政策については明言を避け、間接的な誘導策の一つとして、日本株の長期保有に対して相続税の一部免除などを実現したいとの意向を示した(2025年 ロイター/Makiko Yamazaki)
Yoshifumi Takemoto Makiko Yamazaki
[東京 26日 ロイター] - 自民党金融調査会長を務める片山さつき参院議員はロイターの取材に応じ、「ドル/円は120円台の時期が長かったので、120円から130円、120円台が実力との見方が多い」と述べ、物価高の沈静化に向け円高進行が望ましいとの見解を表明した。円高実現の手段として金融政策については明言を避け、間接的な誘導策の一つとして、日本株の長期保有に対して相続税の一部免除などを実現したいとの意向を示した。
<為替相場、「変な操作」はよくない>
片山氏は、為替水準に関し「立場上、あるべき為替水準について断言はできない」と語った。その上で、円高方向への誘導手段として「為替介入はきっかけにはなるが、長期的には効果があまり大きくないので、根本的な対策が必要」と指摘した。自民党として、少額投資非課税制度(NISA)の税制優遇拡充を検討しているとし、「具体的には、高齢者が日本株を長期保有した場合に相続税を一部免除するなどを検討しており、骨太の方針や年末の税調(税制調査会)に盛り込みたい。日本株を保有してくれたら国の成長に貢献してくれることになる」「日本株を長期保有することのメリットをつくっていきたい」と述べた。
トランプ米大統領は3月初旬、中国の習近平国家主席や「日本の指導者に電話して、通貨安誘導あるいは切り下げを続けることはできないと伝えてきた」と表明した。片山氏は、米政権からの円高誘導圧力の有無について「2月の日米首脳会談でそのような設定はなかった」と否定した。「為替はファンダメンタルズを反映して動くことが一番。変な操作が入ることは、あらゆる意味ではいいことではない」と言及した。
同時に「米国がインフレにより一方的に利下げできない一方、日本も一方的に利上げができるかというと、できることとできないことがあることは米国も分かっていると思う」とも付け加えた。
<関税、米国に日本狙い撃ちの意思ない>
今後のあるべき利上げペースを含めた日銀の金融政策運営に関しては「自民党の金融調査会会長としてコメントは控えたい」と述べるにとどめた。
与党内には日銀の追加利上げによる景気腰折れを懸念する声もある。利上げの是非を巡っては「足元、企業倒産が増えているが、住宅市場や設備投資は比較的堅調。絶対に金利を上げられない状況でもない」との見解を示した。
米政権運営による日本に対する経済的な影響に関し「ウクライナ戦争が終息の方向で動いていることはポジティブ。資源価格が落ち着くのは日本には悪くない動きだ」と評価した。ウクライナ戦争について「力による現状変更を認めてはならないことは日本として訴え続ける必要がある。尖閣(諸島)が中国に取られてしまうリスクがある」とも強調した。
懸念される追加関税を巡っては「トランプ関税は米国の企業にとってはコスト増の要因にもなるので、ディールの材料としている。どこまで実際に実施するか、様子を見る必要がある」と指摘。「日本は米国とウィンウィンの投資などを行う普通の良いパートナーなので、米国側は日本を狙い撃ちする意思はない」と分析した。
インタビューは25日に行った。