なぜ文政権の支持率は低下し続けるのか?
さらに、ソウル大学が今年の4月21日に発表した「2021年韓国社会の鬱憤調査」では、回答者の58.2%が慢性的な鬱憤を感じていると答えた。2019年調査の43.5%と2020年調査の47.3%を大きく上回る数値である。
2019年の曺国氏のスキャンダル、2020年の朴元淳(パク・ウォンジュン)ソウル前市長と呉巨敦(オ・ゴドン)前釜山市長のセクハラスキャンダル等文政権で相次ぐ不祥事は国民の政権離れを加速化させた。
最近の支持率低下の最も大きな要因としては「不動産政策の失敗」が挙げられる。文政権は就任した 2017 年の 5 月から今年の 2 月まで不動産価格の安定を目指し、6.17 不動産対策、7.10 不動産対策、8.2 不動産対策等 25 回にわたる不動産対策を実施した。しかしながら、ソウルを中心とした不動産価格、 特にマンション価格は下がるところか、高騰を続けている。
特に、2020年7月末に「契約更新請求権」と「伝貰・月貰上限制」が施行されてから、伝貰物件の供給が急激に減り、伝貰価格が跳ね上がった。その結果、新婚夫婦を中心とした若い世帯の住まい探しが難しくなり、政府の不動産政策に対する不満の声が高まった。さらに、最近は宅地開発などを手がける公共機関である韓国土地住宅公社(LH)の職員による不正不動産投機疑惑まで発生し、文政権の不動産政策に対する不信感が強まった。
若者の支持率低下には「雇用関連政策の失敗による就業難」が大きな影響を与えた。文政権は、最低賃金の引き上げ、週52時間勤務制、公共部門の雇用拡大等を実施することにより、雇用創出を計画したものの、関連政策が失敗したことと共に、米中貿易摩擦の長期化、日本政府の輸出規制の強化、新型コロナウイルの発生等の外部要因も加わり、雇用状況は改善の気配を見せていない。2017年5月に100.3万人であった失業者数は2021年3月には121.万人まで増加し、同期間における失業率は3.6%から4.3%に上昇した。
特に、若者の雇用状況は改善されず、2021年3月時点の15~29歳の若者の失業率は10.0%で全体失業率4.3%を2倍以上も上回っている。さらに、潜在的な失業者や不完全就業者(週18時間未満働いている者)を加えた2021年3月時点の「拡張失業率」は、全体で14.3%、15~29歳で25.4%と高い水準が続いている。
そして、新型コロナウイルスの長期化も文政権の支持率にマイナスの影響を与えている。2020年には、徹底的な検査、隔離、情報提供等に代表される「K防疫」がある程度成果を挙げ、文政権に対する国民の評価も高かったものの、最近はワクチン確保の遅れで世論の逆風を受けており、支持率低下につながっている。
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