コロナで拡大した格差をどう解消する? 韓国次期大統領候補たちの提案
自営業者への損失補填を義務化することを提案する丁世均首相(1月28日) Heo Ran- REUTERS
<ベーシックインカムのような一律給付型、儲かった企業と損をした企業の利益シェア、政府による損失補償などが挙がっているが、具体的政策に落とし込めるものはどれか>
*このコラムの内容は筆者個人の見解で、所属する組織とは関係ありません。
文在寅大統領の任期が1年4カ月しか残っていない現在、与党の次期大統領候補等を中心に、新型コロナウイルス感染症により発生した二極化の問題や格差を解消するための対策案が次々と発表されている。
次期大統領候補として、最近の世論調査で最も高い支持率を得ている李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事は、ベーシックインカムの考え方に基づいた「災難基本所得」を継続して推進している。彼は、京畿道の城南市長に在任していた2016年に、城南市に居住している満24歳のすべての若者に四半期ごとに25万ウォン(約22,200円)の地域通貨(1年に4回、合計100万ウォン)を、「青年配当」という名称で支給した。
2018年6月に京畿道知事に当選してからは、城南市で実施した「青年配当」を「青年基本手当」という名称に変更し、2019年から京畿道の満24歳のすべての若者に支給した。
さらに2020年5月には新型コロナウイルス感染症に対する緊急経済対策として、京畿道に居住しているすべての人(外国人を含む)に一人当たり10万ウォン(約9,360円)の災難支援所得を支給し、今年の2月には第2次災難支援所得を支給すると発表した。
プラットフォーム企業の利益を分配
李在明京畿道知事は、あるテレビ番組に出演し、今後「青年基本手当」の適用対象を京畿道のすべての住民に拡大し、将来的には韓国国内のすべての人々に定期的に一定金額の手当を支給する、いわゆるベーシックインカムを導入したいと抱負を語った。
一方、親文在寅派の李洛淵(イ・ナギョン)「共に民主党」代表は、新型コロナウイルス感染症による所得の二極化を乗り越えるための対策として「コロナ利益共有制」の導入を進めている。新型コロナウイルス感染症による非対面取引の活性化で多くの収益を上げたプラットフォーム業種等の企業が新型コロナウイルス感染症の影響により被害を受けた中小企業と利益を分かち合うことで所得の再分配を促す制度だ。
李洛淵代表は1月12日、仁川新港を訪れ「コロナ禍の二極化を克服するためには、私たちの制度や財政、福祉に頼るだけでなく、民間でも痛みを分かち合うことが必要だ」と述べた。また、「文在寅大統領の大統領選挙公約であった『協力利益共有制」の内容を見ると、インセンティブを提供し、共有を誘発する方式があった。今回もそのような方式を援用することができるだろう」と話した。
この筆者のコラム
少子化が深刻な韓国で育児休業パパが急増している理由 2022.06.30
深刻化する韓国の貧困と所得格差 2022.06.02
韓国で1日あたりの新規感染者数が60万人を超えた理由 2022.03.29
【韓国大統領選】李在明と尹錫悦の経済政策、不動産政策、労働政策を比較する 2022.02.21
北京五輪が韓国与党の大ブレーキに?韓国大統領選まであと1カ月 2022.02.10
安哲秀氏との候補一本化に成功し、韓国の次期大統領になるのは誰か 2022.02.03
韓国大統領選、尹錫悦候補の支持率はなぜ再上昇できたのか 2022.01.27