文在寅大統領の対日姿勢が柔軟路線に変わった理由
4)日韓関係を外交的に解決したい
また、今回の発言には、旧日本軍の慰安婦だった韓国人女性ら12人が日本政府に対し、1人当たり1億ウォン(約1千万円)の慰謝料を求めた訴訟に対する地裁の判決で、日本政府に1人あたり1億ウォンの慰謝料を支払うよう命じたことは、司法部の判断で本人とは関係がないことを主張し、日韓関係を外交的に解決していきたいという意図が含まれているように考えられる。
今回の発言にも変わらず、冒頭の懸念とは異なり文大統領の支持率は今年1月1週目の35.5%から少しずつ上昇し1月3週目には43.6%まで上がった。一方、与党「共に民主党」の政党支持率も32.9%まで上昇し、保守系の最大野党「国民の力」の支持率(28.8%)を8週ぶりに上回った。
支持率の再上昇には、少なくとも3割はいると推測される岩盤支持層の存在や新型コロナウイルスの感染者減少などが影響を与えたと考えられる。
菅首相の就任前日に祝電
韓国政府の対日政策の変化は菅政権になってから本格化していると言える。文大統領は、菅首相の就任前日に菅首相に祝電を送り、「在任期間中、日韓関係をより発展させるため共に努力しよう」との意思を伝えた。また、丁世均(チョン・セギュン)首相も菅首相に書簡を送り、「新たな時代にふさわしい未来志向的な日韓関係の発展のため、両国が対話と協力を強化しよう」と提案した。
さらに、昨年11月には朴智元(パク・チウォン)国家情報院長が菅義偉首相を表敬訪問すると共に、二階俊博自由民主党幹事長、北村滋国家安全保障局長、瀧澤裕昭内閣情報官等を訪ねて会談をした。菅政権に代わってから韓国政府の日本政府に対する対話方法は、「強硬路線」から「穏健路線」に変わったように見える。
1月22日には新しく駐日韓国大使に任命された姜昌一(カン・チャンイル)氏が来日した。彼は、東京大学大学院で修士号と博士後を取得し、2017年から来日する前まで韓日議員連盟の会長を歴任した知日派である。
一方、新しい駐大韓民国特命全権大使には、駐イスラエル特命全権大使の相星孝一氏が任命された。彼は1999年1月〜2001年3月と、2006年8月〜2008年8月までの合計4年3カ月間、韓国に参事官や公使等で韓国に勤務したことがある知韓派である。
二人の新しい大使が知恵を絞って日韓関係の改善のみならず、今後の友好協力関係を深めるために最善を尽くしていくことを望む。二人の新しい大使の今後の言動が注目されるところである。
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