日韓対立の影響は?韓国経済に打撃大きく、日本経済にもマイナス 日韓関係の回復を強く望む
また、韓国国内では日本製品の不買運動が広がっている。
民間調査によると7月31日現在日本製品の不買運動に参加している人は64.4%にのぼる。7月10日の一次調査の48.0%に比べて16.4%も高い数値である。地域別には済州道(79.4%)や江原道(77.4%)の参加率が相対的に高く、世宗市・大田市・忠清道(53.9%)やソウル市(56.4%)の参加率は相対的に低い。性別には男性(65.7%)が女性(63.0%)より高く、年齢階層別には40代(76.3%)で最も高い。支持政党別には与党である民主党支持者の参加率が80.9%で高い反面、野党の自由韓国党を支持する層の参加率は39.5%で低い。
今後、日韓政府の間でなんらかの譲歩がなされると、不買運動は収束する可能性が高いが、問題解決を先送りすると不買運動はさらに拡大する恐れがある。
貿易の依存度は低下しても、草の根交流は活発
韓国にとって日本は2018年基準で5番目の輸出国であり、3番目の輸入国である(図表3)。しかしながら、韓国経済の日本への依存度は年々低下している。
図表4は韓国の総輸出金額に占める日米中の割合の推移を、そして、図表5は韓国の総輸入金額に占める日米中の割合の推移を示しており、輸出・輸入ともに中国の割合が上昇することにより、日本の割合は、低下傾向(特に輸入)にある。
図表3 韓国の主な輸入国と輸出国の貿易金額(2018年)
図表4 韓国の総輸出金額に占める日米中の割合の推移
図表5 韓国の総輸入金額に占める日米中の割合の推移
日韓の貿易依存度は低下しているが、日韓関係がきしんでいる中でも民間の交流は盛んでいた。2018年に来日した韓国人観光客数は約754万人で1年前に比べて5.6%も増加した。国別には中国に次いで最も多い数値である。
韓国では寿司やラーメンなど日本の食べ物が流行しており、日本のアニメーションを楽しむ若者も多い。一方、2018年に韓国を訪ねた日本人観光客数は約295万人で、同期間に日本を訪ねた韓国人観光客数を大きく下回っているものの、1年前と比べて27.6%も増加した。
さらに韓国人の街として知られている「新大久保」は、女子高生に人気のある街に関する調査で「原宿」、「渋谷」に次いで3位にランクされた。
両国の関係が悪化することで日韓を往来する人数は少し減っているものの、市民や団体の草の根交流は続いており、両国の政治状況さえ改善されれば民間の交流はより活性化されると思われる。
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