文在寅政府の手厚い雇用・福祉政策は絵に描いた餅 財源なくして政策なし
韓国の国会立法調査処は、2014年8月22日に、今後、出生率が2013年の出生率1.19のままなら、2014年時点で5075万人(将来人口推計)である韓国の人口は、2056年に4000万人になり、2100年には2000万人へと半減すると予想した。また、2136 年には1000万人まで人口が減り、2256年には100万人に人口が急減し、少子化が改善されない場合、韓国は2750年には消滅すると予測している。
2018 年の出生率が0.98であることを考慮すると、人口減少のスピードは上記の予測よりさらに速くなる可能性が高い。
社会保障拡大政策を推進、増える社会保障関連予算
一方、社会保障政策は今後も拡大路線が鮮明である。2018年9月に導入した児童手当は、その支給対象を拡大し2019年10月からは対象年齢が満7歳未満に拡大される。また、満65歳以上の高齢者に支給される基礎年金の給付額も引き上げられる。2019年4月からは所得下位20%の高齢者の基礎年金の給付額を既存の月25万ウォンから月30万ウォンに引き上げられており、今後所得下位70%の高齢者まで段階的に引き上げる予定である。
基礎年金の給付額を日本円に換算すると3万円程度で、高齢者が生活するためには十分ではない金額かも知れない。しかしながら、保険料を納めることにより受給権が発生する日本の国民年金受給者の老齢年金の平均年金月額が、2016年度末現在で5万5千円(基礎のみ・旧国年の受給者の場合は5万1千円)であることを考慮すると、保険料という収入なしで年金を支出せざるを得ない韓国政府の財政的な負担はかなり大きいだろう。
韓国政府は社会保障拡大政策を実施することに伴い、来年度予算を大きく増やした。2019年度予算案の一般会計総額は470.5兆ウォンで、2018年度の428.8ウォンに比べて9.7%も増加した。2019年度予算案の一般会計総額の対GDP比は24.8%で、日本の18.5%より高い。
その中で、保健・福祉(社会保障)・雇用関連予算額は2018年度の144.6兆ウォンから2019年度には162.2兆ウォンに12.2%も増加しており、一般会計予算の34.5%を占めることになった。福祉(社会保障)部門だけをみると72.4兆ウォンで、前年に比べて14.6%も増加しており、日本の一般会計予算の社会保障費増加率3.3%を大きく上回っている。
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