いよいよ「本格的な賃上げ」を実感する人が増加中...一方、「取り残された」企業と労働者の課題が
企業間だけでなく世代間の格差も拡大中
格差という点では、企業間に加え世代間格差も無視できない状況となっている。2024年は、20代の賃上げ率が10%を超えていたのに対し、40代はほぼ0%、50代に至ってはマイナスという結果だったが、今年の春闘では、さらにその傾向に拍車がかかる可能性が高い。
企業が人件費総額を変えない場合、ある世代の賃金を引き上げれば、別の世代にシワ寄せが及ぶ。賃金全体を底上げしていくためには、企業の収益力を高め、賃金の原資を自ら生み出す必要がある。
日本の場合、中小企業の多くが大企業の下請け的な業務に従事しており、大企業による買いたたきなど古い商慣行が是正されない限り、中小企業の賃上げが実現できないという側面がある。
2年連続で相応の賃上げが実現したことから、社会全体に多少、明るい兆しが見え始めているものの、一方で企業間あるいは世代間格差をどのように是正するのかが新たな政治課題として浮上しつつある。政府は企業の競争力を高めるため、中小企業における合併・買収(M&A)を促進する制度や、就職氷河期世代に向けたスキルアップ支援策など、格差是正の取り組みをより強化していく必要があるだろう。
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