コラム

「年収の壁」問題が大きく影響する、年金制度の改正...受け取る「年金の額」はどう変わるのか?

2024年12月12日(木)17時47分
年金制度改革と年収の壁

NYIRAGONGO/ISTOCKPHOTO

<厚生年金に加入できる要件である「年収106万円」という壁は撤廃されることに──。年金制度はどのような形で変わるべきかを考える>

「年収の壁」が政治的課題として急浮上したことに伴い、来年の通常国会で予定されている年金制度改正に注目が集まっている。年金制度が抱える多くの課題を一気に解決できる道筋が見えてきた半面、混乱がさらに拡大するリスクもある。

公的年金については5年に1度のタイミングで財政検証を実施し、その結果に合わせて制度改正を行うのが慣例となっている。今年、行われた財政検証の結果によると、マクロ経済スライドの発動によって高齢者に対する年金減額が進んでいることから、財政は好転に向かっており、現役世代の負担はこれ以上、増やさなくても良さそうだとの見通しが立ちつつある。


一連の検証結果を受けて来年の通常国会では、年金減額に伴う基礎年金の脆弱性を補強する基礎年金底上げ案の導入が議論される予定だ。

高齢者の年金を減額することで現役世代の負担を抑えるめどが立ったものの、シワ寄せを受けそうなのが、財政が脆弱な基礎年金(国民年金)である。自営業者など国民年金のみに加入している人や、厚生年金であっても現役時代の年収が低く、年金給付に占める基礎年金の比率が高い人の場合、基礎年金減額の影響を大きく受けてしまう。

プロフィール

加谷珪一

経済評論家。東北大学工学部卒業後、日経BP社に記者として入社。野村證券グループの投資ファンド運用会社に転じ、企業評価や投資業務を担当する。独立後は、中央省庁や政府系金融機関などに対するコンサルティング業務に従事。現在は金融、経済、ビジネス、ITなどの分野で執筆活動を行う。億単位の資産を運用する個人投資家でもある。
『お金持ちの教科書』 『大金持ちの教科書』(いずれもCCCメディアハウス)、『感じる経済学』(SBクリエイティブ)など著書多数。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米SECの人員削減など調査へ、議会の超党派政府監査

ワールド

中国、米国人にビザ制限 チベット巡る「悪質な言動」

ビジネス

独当局、伊銀のコメルツ株取得計画承認 30%弱保有

ビジネス

CKハチソン港湾施設、イタリア資産家が大半を取得へ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプ関税大戦争
特集:トランプ関税大戦争
2025年4月15日号(4/ 8発売)

同盟国も敵対国もお構いなし。トランプ版「ガイアツ」は世界恐慌を招くのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 2
    シャーロット王女と「親友」の絶妙な距離感が話題に...ミア・ティンダルって誰?
  • 3
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 4
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 5
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 6
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 7
    娘の「眼球が踊ってる」と撮影、目の「異変」は癌が…
  • 8
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    「宮殿は我慢ならない」王室ジョークにも余裕の笑み…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 7
    「吐きそうになった...」高速列車で前席のカップルが…
  • 8
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 9
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 10
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story