高成長してきたシンガポールで「異変」が──差し迫る「中国化」でアジアの金融ハブの座が危うい

EDGAR SU-REUTERS
<シンガポールで起きた大規模マネロン事件の摘発は、明るいはずだった国の未来に「中国の影」が差していることを示している>
アジアの金融ハブとして発展を遂げてきたシンガポールが曲がり角に差しかかっている。
大規模なマネーロンダリング(資金洗浄)事件の摘発を受け、非居住者の口座開設や取引に大きな制限が出ている。これまでとは異なり、一連の出来事の背景には、アメリカ中心のグローバルな金融システムの変化があり、シンガポールの立ち位置は今後、微妙なものとなるだろう。
シンガポール政府は今年10月3日、マネロンの規制強化に向けて関係各省庁からなる委員会を設置する方針を明らかにした。今後、外国人による法人設立や金融取引に関する規制を強化していくとみられる。
8月にはマネロンの疑いで同国在住の外国人が大量に検挙されるという事件が起きており、現金や不動産、高級車、宝飾品など28億シンガポールドル(約3130億円)が押収された。
同国はこれまでアジアの金融ハブとして、世界各国から多くの資金を集めてきた。かつては香港がアジア最大の金融ハブだったが、中国が香港への弾圧を強化した結果、投資先としてのリスクが上がり、香港は徐々にアジアの金融ハブとしてではなく、中国本土の出先機関としての役割にシフトしつつある。
日本からの移住先としても人気の国
こうした状況で、以前にも増してビジネスを拡大させてきたのがシンガポールである。同国は建国の父と呼ばれるリー・クアンユー氏と息子のリー・シェンロン氏が長く首相を務めるなど、独裁的・強権的な側面の強い国である一方、西側各国に対するオープンな姿勢から、安心して資金を預けられる地域として高い評価を獲得してきた。生活環境も整備されており、子育てや教育目的に日本からシンガポールに移住する人も多い。
香港に代わるアジアの金融ハブとして、シンガポールの未来は明るいと思われていたが、今回の出来事はそうした見方を少し変えることになるかもしれない。
これまでの時代は、マネロン事件の摘発といえばアメリカの強い要請によるものというのが国際金融の常識であった。アメリカは基軸通貨国として世界に金融取引ネットワークを張り巡らせる一方、9.11以降はテロリストによる活動資金を監視する必要性から、マネロンに関して過剰なまでに警戒するようになっている。
日本を含む各国の銀行が、取引の現場を無視したマネロン規制を相次いで導入してきた背景に、アメリカからの強い要請があったことは説明するまでもない。
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