経済の危機と戦えない日本の「特殊事情」──石油危機と今では「真逆」の対策
SUMAN BHAUMIK/ISTOCK
<岸田政権の物価対策は物足りないと感じる人が多いようだが、日本の現状を考えると理論的にはできることがかなり限られてしまう>
原油や食糧の価格高騰を受けて、岸田政権が物価対策を発表した。内容は販売価格を抑制するための各種支援金や低所得者向けの給付金となっている。一連の施策は困窮対策としては効果があるかもしれないが、根本的な物価対策にはなりにくい。
今回の物価上昇は1970年代に発生したオイルショックとよく似ている。ところが当時の物価対策は今とは正反対の驚くべき内容だった。
オイルショックをきっかけに日本の消費者物価指数は10年で約2.5倍に跳ね上がった。当時の物価上昇は原油価格の上昇が主な要因なのでコストプッシュ・インフレとされる。経済学の理論上、コストプッシュ・インフレが発生すると総供給曲線が左にシフトするので、総需要曲線との均衡点も左にシフトし、価格上昇とGDPの減少が同時に発生する。
インフレの厄介なところは、一般的な景気対策を実施しにくいことである。景気悪化を防ぐために財政出動すると総需要曲線が右にシフトし、物価をさらに押し上げてしまう。つまり景気対策を行うとインフレを加速させてしまうのだ。
経済学の理論に従うのなら、インフレを抑制するためには需要を減らし、経済活動を低下させる必要がある。当然のことながら、こうした行為は国民生活に大きな打撃を与える。
石油危機当時との大きな違い
では、当時の日本政府がどのような対応をしたのかと言えば、それは理論に忠実な総需要抑制策であった。
日銀は公定歩合を引き上げて金融引き締めを行い、政府は大型の公共事業を次々と凍結。一般企業に対しては、石油や電力の消費を10%削減するよう求めるとともに、コスト上昇分を価格に転嫁しないよう強く要請し、ガソリンスタンドの休日閉鎖、ネオンの消灯、高速道路での低速運転、深夜放送の中止を訴えるなどかなり過激なものだった。
一連の厳しい施策の結果、何とか物価高騰を乗り切った格好だが、経済学の原理原則に忠実な政策を実施できたのは、当時の日本経済に勢いがあったからにほかならない。今の日本経済にそうした勢いはなく、総需要抑制政策を実施すれば、景気は一気に冷え込んでしまうだろう。
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