インフレの条件は(ほぼ)整った──投資家たちは何を懸念している?
こうした状況を受けて、食糧や金属などコモディティ価格が急上昇しており、半導体も必要な数量を確保できず、自動車メーカーの一部は生産計画見直しを余儀なくされている。
需要サイドの要因に加え、供給サイドの要因も加わっているので、教科書的に考えればいつインフレが発生してもおかしくない。
もっとも、量的緩和策で前代未聞のマネーを市場にバラまいたにもかかわらず、スムーズに資金が循環する状況になっていないのも事実である。こうした事態が続くのであれば、従来と同様、思ったほどにはインフレは進行しないのかもしれない。
だがそれはあくまで時間軸の問題でしかなく、市場に大量のマネーを供給すれば、それに見合った成長を実現できない限り、最終的には物価で調整されてしまう。もし予想以上にインフレが進めば、急激な金利上昇によって株価が下落し、リセッションの引き金となる可能性がある。
仮にリセッションを回避できても、インフレで通貨価値が毀損されるので、現金以外の資産保有層と中間層の格差が拡大し、経済全体に対してあまりいい影響を与えない。低金利に過度に依存している日本は、特に影響が大きいだろう。
<本誌2021年3月9日発売号掲載>

アマゾンに飛びます
2025年2月25日号(2月18日発売)は「ウクライナが停戦する日」特集。プーチンとゼレンスキーがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争は本当に終わるのか
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら
石破首相・トランプ大統領の首脳会談が「大成功」と言えるワケ...日本企業の「利益」とは? 2025.02.20
フジテレビ「最大の経営危機」、本番はむしろこれからか...市場は「今後」をどう見ている? 2025.02.05