終身雇用の限界は近い 日本型雇用を崩壊させる厄介な現実とは?
外食や小売りなど若年層の労働力を必要とする業種では深刻な人手不足が継続する一方、日本企業の内部には何と400万人もの社内失業者が在籍しているとされる(リクルートワークス研究所調べ)。これは日本における全正社員の11%に相当する数字である。
日本企業全体の売上高は過去10年間、ほとんど伸びていないのだが、それにもかかわらず日本企業は従業員の総数を4%も増やしている。新規事業などで採用を拡大する一方、余剰となった人材を外部に放出できないため、総人件費が膨れ上がるという図式だ。
政府は70歳までの雇用延長を企業に求めているが、定年が実質的に消滅すれば総人件費はさらに増える。これを抑制するには、若い社員の年収を引き下げる必要があるが、これ以上、若年層の賃金を引き下げれば、優秀な人材を確保できなくなる。
多くの企業は、外堀を全て埋められた状況にあり、選択の余地はほとんど残されていない。日本型雇用についてはいろいろな意見があるだろうが、その是非について議論するフェーズはもはや過ぎ去ったというのが偽らざる現実である。
<2019年11月5日号掲載>
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