都市景観をお金に換えられない残念な国「ニッポン」
だがヒルトンは新しく建て替えるということはせず、19億5000万ドル(当時のレートで約2300億円)というとてつもない価格で、しかも長期の業務運営委託契約付きで中国企業に売却するという選択を行った。中国企業はホテルの美観を維持する義務があり、コストをかけて大規模修繕まで実施するという。高い収益を上げつつ、文化財的な価値も維持するという、売り手にとって圧倒的に有利なスキームといってよいだろう。
この事例は、経済的に豊かになった新興国というのは法外な値段であっても、文化的価値が高いモノを欲しがるということを如実に表わしている(その後、買収した企業が破綻し、現在は中国政府の管理下にある。もし安く買い戻せれば、米国にとってはさらに利益となる)。
ヒルトン・グループがこうした決断を下せたのは、同社の経営が、ホテルを自ら所有するという旧来の形態から完全に脱却し、時代に合った経営体制を構築できているからである。
廃墟だった発電所をそのままリニューアル
ロンドンではテムズ川のほとりに廃墟として放置されていた発電所をリニューアルし、大規模なオフィスやレジデンスとして再利用するプロジェクトが進められている。
発電所として稼働していた当時の状況が随所に残されており、ボイラー室だった場所には米アップルが英国本社を構える予定となっている。建物の保全との折り合いで開発は難航したが、マレーシアの投資家の資金を得たことで、プロジェクトは実現の運びとなった。
先進国は、工夫次第でこうした「オイシイ」ビジネスをすることが可能であり、文化財の保存と経済的利益の両方を追求できる。これこそが先進国が持つ最大の特権といってよいだろう。容積率を一方的に緩和し、景観を壊しながら新しいビルを建設するよりも、はるかに利益の大きいスキームを構築することは日本でも不可能ではないし、それを考え出す知恵こそが本来は求められている。
もっとも筆者は、日本でもこうした知恵が生かされ、美しい都市景観が保持されるとはあまり思っていない。
日本経済の弱体化は想像以上に進んでおり、ソフトパワーについて議論する余力はすでになくなっているというのが現実だろう(というよりも最初からなかったのかもしれない)。筆者のオフィスの近くでは、目立った特徴のない巨大ビルの建設が今日も進められている。
中国経済は、2025年を「復活の年」にできるか...不動産バブル後の中国の「実態」とは? 2024.12.26
-
外資系顧客向けシステムエンジニア/システムインテグレータ・ソフトハウス
株式会社リファルケ
- 東京都
- 年収450万円~1,260万円
- 正社員
-
転勤無し/税務マネージャー「東京」年収~1000万円「世界5大会計事務所/外資クライアントメイン/在宅勤務有」
BDO税理士法人
- 東京都
- 年収600万円~1,000万円
- 正社員
-
転勤無し/外資系クラウドシステムの既存顧客担当営業「東京/大手中堅」
株式会社コンカー
- 東京都
- 年収800万円~1,500万円
- 正社員
-
外資製薬会社向けCRMシステムの運用保守支援/最寄り駅から徒歩10分圏内/経験者優遇/データ入力業務あり/年間休日最大125日
株式会社ビーネックステクノロジーズ
- 東京都
- 月給21万2,000円~55万円
- 正社員