アベノミクス「新3本の矢」でメリットのある人・ない人
■名目GDPは株価や不動産価格との相関性が高い
GDPにおける「名目」と「実質」の違いはこの部分にある。使った金額が3%増えれば、GDPは3%増えたということになるが、ここでのGDPは名目値である。一方、使う金額が3%増えても、モノの値段が上がってしまった場合には、買えるモノの総量は変わらず、実質的に経済は成長していないとみなされる。これを実質GDPと呼び、この場合のGDP成長率はゼロ%である。言い換えれば、名目GDPは金額ベースのGDP、実質GDPは数量ベースのGDPということになる。
そこで今回のGDP 600兆円という目標値だが、これは名目値、つまり金額ベースの話である。乱暴に言ってしまえば、単純に物価が1.2倍になれば、GDP 600兆円は達成できてしまう。だが、物価が上昇しただけでは、その時に消費者が買えるモノの量は今と変わらない。一部の識者が今回のGDP目標について厳しく批判しているのはこうした理由からである。
しかしながら、数値目標を掲げてしまった以上、安倍政権は目標達成に向けて策を講じるはずである。今のところ、もっとも有力な手段はやはり日銀の追加緩和だろう。
日銀が追加緩和に踏み切れば、円安がさらに進行する可能性が高い。安倍政権発足後、日本の名目GDPがプラス成長になったのは、円安によって輸入物価が上昇し、モノの値段が上がったことが大きく影響している。今年に入って、さらに円安が進んだことから、多くの事業者が耐えきれなくなり、相次いで値上げに踏み切っている。原油価格は下がっているものの、ここで追加緩和を行えば、もう一段の円安となり、物価上昇は加速する可能性が高い。
もうひとつ考えられるのは賃上げの促進である。安倍政権は2度にわたって経済界に異例の賃上げ要請を行っている。賃上げ要請を強化し、企業側がこれを受け入れれば、国民の所得は増え、消費が拡大することになる。円安による物価上昇と賃上げによる所得増加が加われば、年3%の経済成長も不可能ではないだろう。ただ、生産性が変化しない中で、賃上げだけを実施した場合、企業の収益が低下してしまうリスクがある。企業はこれを補うため、値上げを加速させることになるため、結局、家計はあまり豊かにならないだろう。
結局のところ、消費者にとってはあまりメリットがなさそうなGDP目標値の設定だが、投資家にとっては別だ。株価や不動産価格は実質GDPではなく、名目GDPと高い相関を示すことが知られている。政府が本気でGDP 600兆円を実現するということになれば、株価と不動産価格もそれに応じて上がっていく可能性が高い。株価や不動産価格が時に、生活実感と大きく乖離するのはこうした理由からである。
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