コラム

来年に向けて日本人の一番の薬は「マゾ的思考」をやめること

2024年12月14日(土)16時40分

円はこの1年ほど、「円キャリートレード」(低金利の円を借りて高金利のドルなどを仕入れ、これで高利を得て儲けるやり方)で、過度な円安を仕掛けられた。これからドル、ユーロ双方に対して円が値上がりすれば、ドル換算のGDPで日本はドイツを再び抜くだろう。

インドへの海外投資は急落傾向

だからといって、昨今の西欧メディアのように、ドイツ経済を古い製造業立国モデルにしがみつき、ITやAI化に立ち遅れた「欧州の病人」と揶揄するのは行きすぎだ。実態はそれほど悪くない。世界でトップシェアの製品を作る中小企業の数は世界最多。IT部門ではシーメンス、SAP、ボッシュ、半導体でもパワー半導体で世界首位のインフィニオンを擁しているし、台湾のTSMCはドイツに生産拠点を建設している。


もう1つ。「3年内には日本やドイツを抜いて世界3位」になるといわれたインド経済も、21年以降は成長率を落としている。インドがその歴史の中で積み重ねてきた、癒着・腐敗した利権構造や中国以上の所得格差、クモの巣のような規制などを改めることができていないからだ。

プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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