コラム

「焦げたアンパンマン」? 石破首相はワルになれ!

2024年10月08日(火)16時10分

とはいえ、野党は割れたままだから、自民党は議席を多少減らしても勝利するだろう。それで石破政権の足元が固まるかといったら、そんなことはなく、選挙の禊(みそ)ぎを受けた旧安倍派の議員、そして高市早苗氏を支持して敗れた麻生派の議員たちが政権を引きずり降ろすべく動き出す。さりとて、選挙後の組閣で彼らを懐柔しようとすれば、今度は石破首相が批判の矢面に立つ。細かい技を繰り出すより、旧派閥や党有力者間の相克をあおって利用するような、ワルになれば長持ちするだろう。

そんな日本の外側で、世界は今、秩序がばらける方向にある。日本はいたずらに危機感をあおるのはやめて、国防体制の充実を粛々と進めつつ、世界の秩序を回復させる方向で旗を振る──そうやって存在感を世界に示すことも可能だろう。

国連改革に始まり、ウクライナ戦争の収拾、その後の欧州安定を維持するための枠組みや、アジアの現状安定を目指す国際協調の推進、経済ではIMFやWTOの再活性化を図る......。それぞれ担当の政治家を指名して世界を回らせ「日本」を印象付ける。

それができれば、アンパンマンから「焦げ」も取れるようになる。


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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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