コラム

南海トラフ巨大地震で日本を失わないために

2024年02月20日(火)15時40分

だから、憲法を改正して緊急事態法を制定すべきだと言いたくなるが、その前に、現行の体制をもっと磨くべきだ。南海トラフ大地震が起きた場合に備えて、総理官邸や都道府県の危機管理センター・室のレジリエンス(抗堪性、こうたんせい)を高め、電力供給が絶える場合に備えて、全国通信網確保のための自家発電体制、そして人工衛星を使う通信体制を整えないといけない。断層地帯にある原発は停止を続け、廃炉も検討する。

 
 

日本列島をめぐるトラフの動きはまだ一定している。復旧不可能なほどの急激な、地形破壊は起きないものと想定したい。救助・復興要員・資材確保の目安を付け、事業所や家屋再建を助成する体制を整え、救助要員・ボランティアのために現地のホテル・旅館を公費で確保する体制を整えておくこと等が必要だ。東日本大震災の例を見ても、工場の再稼働は比較的に短期で実現する。

地震で破壊されたリスボンも、今では美しく生活がしやすい街として世界上位に付けている。巨大な南海トラフ地震だからといって、最初から諦めることはない。

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プロフィール

河東哲夫

(かわとう・あきお)外交アナリスト。
外交官としてロシア公使、ウズベキスタン大使などを歴任。メールマガジン『文明の万華鏡』を主宰。著書に『米・中・ロシア 虚像に怯えるな』(草思社)など。最新刊は『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス)  <筆者の過去記事一覧はこちら

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