「祖国防衛」へと大義がすり替えられたロシアのウクライナ戦争
ソ連崩壊以来30年、ロシアは新たな国家・経済モデルを探してもがいてきた。90年代、民主主義は混乱と困窮をもたらしたが、それを専制と帝国主義で挽回しようとしたプーチンは、ロシアの孤立と、ユーラシアでの地歩の喪失を招いている。工業文明や国民国家体制の先を模索する世界の中で、ロシアはこれからますます落伍していくかどうかの瀬戸際にある。
そのあたりを心得た軍事アナリストのドミトリ・トレーニンは、ウクライナで「戦略的な成功」を確保する必要性を述べながらも、「ロシアをもっと政治的に持続可能な、経済的には効率的な、社会的にはもっとモラルを備えたものに変えなければならない」と言っている。
そのとおりだ。しかし言うは易し、行うは難し。9世紀にキエフ大公国として出現して以来、ロシアは浮沈を繰り返してきた。おそらく今回もそれは続く。「ロシアよ、おまえはどこへ行く」という問いを、いつも投げかけられながら。
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