コラム

シニカルなイギリス風ユーモアでスターマー英首相を斬ると...

2024年11月09日(土)15時03分
アーセナルの試合を観戦するキア・スターマー英首相

何度も無料チケットを贈られてアーセナルの試合を観戦していたスターマー(2024年8月) JOHN SIBLEY-REUTERS

<日本人が和食好きなのと同じくらいジョーク好きなイギリス人。政権交代早々人気急落の首相ももちろんその標的に>

イギリスに住んでいて好きなことの一つはユーモアのセンス。かなりシニカルな時もあるが、ある種の「癒やし」だったりもする。

僕がイギリス人だから好きなのかもしれない。日本人が和食はいいよと言っているようなものだ。

僕は時々、あるテーマについて人々が言うおもしろいことをただ集めて、ちょっとした話を加えるだけで、いとも簡単、記事になるじゃないか!と思うことがある。

先日、英労働党のキア・スターマー新政権の人気が急落したことについて書いていたときに、まさにそれが頭に浮かんだ。これまで67歳以上の全ての高齢者に支給されていた冬季燃料手当について、労働党が対象の限定に乗り出したことを、僕は指摘した。

国からの給付金を得るための条件があるときはいつでもどこかで線引きがあり、線引きがあるときにはいつでもギリギリで対象にならない人が大勢いるものだ(例えば、国からの300ポンドの給付金を受けられる年収を11ポンド上回っている、とか)。

そんなときによく耳にするセリフがある。「もう少し貧乏だったら、もっと金持ちになっていたのに」。

僕はまた、スターマーが「とんでもなく清廉潔白」ではないことに人々が失望していることを書いた。例えばアーセナルから無料チケットを受け取っていることは、実際にはそれほどの悪事ではなかったのかもしれない。

スターマーは、以前は自費で試合観戦に行っていたが、今は首相になったので、普通の席に座ったら納税者に莫大な費用負担をかけて警備を付けることになってしまうからできないのだ、と説明した。

プロフィール

コリン・ジョイス

フリージャーナリスト。1970年、イギリス生まれ。92年に来日し、神戸と東京で暮らす。ニューズウィーク日本版記者、英デイリー・テレグラフ紙東京支局長を経て、フリーに。日本、ニューヨークでの滞在を経て2010年、16年ぶりに故郷イングランドに帰国。フリーランスのジャーナリストとしてイングランドのエセックスを拠点に活動する。ビールとサッカーをこよなく愛す。著書に『「ニッポン社会」入門――英国人記者の抱腹レポート』(NHK生活人新書)、『新「ニッポン社会」入門--英国人、日本で再び発見する』(三賢社)、『マインド・ザ・ギャップ! 日本とイギリスの〈すきま〉』(NHK出版新書)、『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』(三賢社)など。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米司法長官に保守強硬派ゲーツ下院議員指名へ、トラン

ビジネス

米フロンティア株主、ベライゾンによる買収承認 96

ビジネス

米メタの「スレッズ」、来年初に広告導入=報道

ワールド

ブラジルのサービス業活動、9月は前月比+1.0% 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:またトラ
特集:またトラ
2024年11月19日号(11/12発売)

なぜドナルド・トランプは圧勝で再選したのか。世界と経済と戦争をどう変えるのか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 2
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 3
    NewJeansのミン・ヒジン激怒 「似ている」グループは企画案から瓜二つだった
  • 4
    本当に「怠慢」のせい? ヤンキース・コールがベース…
  • 5
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    中国の言う「台湾は中国」は本当か......世界が中国…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    トランプ再選を祝うロシアの国営テレビがなぜ?笑い…
  • 10
    ウクライナ軍ドローン、1000キロ離れたロシア拠点に…
  • 1
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 2
    「歌声が聞こえない」...ライブを台無しにする絶叫ファンはK-POPの「掛け声」に学べ
  • 3
    ウクライナ軍ドローン、1000キロ離れたロシア拠点に突っ込む瞬間映像...カスピ海で初の攻撃
  • 4
    「遮熱・断熱効果が10年持続」 窓ガラス用「次世代…
  • 5
    「トイレにヘビ!」家の便器から現れた侵入者、その…
  • 6
    本当に「怠慢」のせい? ヤンキース・コールがベース…
  • 7
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 8
    後ろの女性がやたらと近い...投票の列に並ぶ男性を困…
  • 9
    海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「空母化」、米…
  • 10
    NewJeansのミン・ヒジン激怒 「似ている」グループは企…
  • 1
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 2
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 3
    死亡リスクはロシア民族兵の4倍...ロシア軍に参加の北朝鮮兵による「ブリヤート特別大隊」を待つ激戦地
  • 4
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 5
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 6
    大破した車の写真も...FPVドローンから逃げるロシア…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄…
  • 10
    韓国著作権団体、ノーベル賞受賞の韓江に教科書掲載料…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story