コラム

安倍政権でさえ忘れる日本...我々は歴史から学べないのか

2023年08月18日(金)16時33分

安倍政権という「歴史」を問う姿勢が必要

また、集団的自衛権を認めるのならば、真正面から改憲を問うのが筋だったのではないかと思う。東日本大震災からの復興、新型コロナ禍での政治......。安倍氏に問えることはもっとあったし、安倍氏自身も語りたいことがたくさんあっただろう。

野田佳彦元首相が追悼演説で語ったように「安倍晋三とはいったい、何者であったのか。あなたがこの国に遺したものは何だったのか」を問うことは今でも必要だ。長期政権から教訓を引き出し、学ぶという意味でも。そして政治家に限らず、人間は暴力によって命を奪われてはいけない。この点を忘れないためにも、私も安倍政権という歴史を問うていきたいと思う。

当コラムはこれが最終回である。インターネット時代のニュースは常に更新の波にさらされる。だが、本当に必要なのは波に流されず、じっと考える時間だった。それを理解してくれた読者――と支えてくれた編集部――への御礼で締めたい。ご愛読ありがとうございました。また、どこかで。

プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=小反落、ダウ155ドル安 関税巡る不

ビジネス

ユナイテッド航空、第2四半期見通し予想下回る 景気

ワールド

米、メキシコ麻薬カルテルのリーダーに制裁 情報提供

ビジネス

NY外為市場=ドルが対ユーロ・円で上昇、関税巡り慎
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプショック
特集:トランプショック
2025年4月22日号(4/15発売)

大規模関税発表の直後に90日間の猶予を宣言。世界経済を揺さぶるトランプの真意は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    パニック発作の原因とは何か?...「あなたは病気ではない」
  • 2
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ印がある」説が話題...「インディゴチルドレン?」
  • 3
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 4
    NASAが監視する直径150メートル超えの「潜在的に危険…
  • 5
    中国はアメリカとの貿易戦争に勝てない...理由はトラ…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「話者の多い言語」は?
  • 7
    「世界で最も嫌われている国」ランキングを発表...日…
  • 8
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 9
    そんなにむしって大丈夫? 昼寝中の猫から毛を「引…
  • 10
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 1
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最強” になる「超短い一言」
  • 2
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜け毛の予防にも役立つ可能性【最新研究】
  • 3
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止するための戦い...膨れ上がった「腐敗」の実態
  • 4
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 5
    「ただ愛する男性と一緒にいたいだけ!」77歳になっ…
  • 6
    投資の神様ウォーレン・バフェットが世界株安に勝っ…
  • 7
    コメ不足なのに「減反」をやめようとしない理由...政治…
  • 8
    まもなく日本を襲う「身寄りのない高齢者」の爆発的…
  • 9
    動揺を見せない習近平...貿易戦争の準備ができている…
  • 10
    あなたには「この印」ある? 特定の世代は「腕に同じ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story