コラム

コロナアプリ「COCOA」の失敗から日本社会が学ぶべきこと

2023年08月08日(火)13時55分

アプリそのものの効果も問うべき

加えて、スマホアプリがどこまで感染対策の切り札として期待できるかは、もう少しだけシンプルに問われていいように思う。わが身を振り返ってみれば分かるが、私たちはスマホを四六時中持ち歩いているわけではない。どこかに置き忘れることもあれば、すぐそばにないまま1日を過ごすこともある。テクノロジー好きの常識と社会の実情は異なる。本当に接触があったかどうかは、スマホだけで分かるものではない。

接触確認アプリにどこまで感染制御の効果があったのか、あるいはなかったのかは仔細な研究を待ちたいが、先に挙げた専門家の期待に応えるような結果にはならないだろう。

次のパンデミックに備えるためにも、COCOAの失敗は忘れてはいけない。

プロフィール

石戸 諭

(いしど・さとる)
記者/ノンフィクションライター。1984年生まれ、東京都出身。立命館大学卒業後、毎日新聞などを経て2018 年に独立。本誌の特集「百田尚樹現象」で2020年の「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞作品賞」を、月刊文藝春秋掲載の「『自粛警察』の正体──小市民が弾圧者に変わるとき」で2021年のPEPジャーナリズム大賞受賞。著書に『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)、『ルポ 百田尚樹現象――愛国ポピュリズムの現在地』(小学館)、『ニュースの未来』 (光文社新書)など

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