コラム

童話と同じ結末になりそうな、トルコの危うい「コウモリ外交」 成果は特になし

2022年08月16日(火)18時23分

イランの国営石油会社とロシアの大手ガス会社ガスプロムが400億ドル相当の覚書に調印したり、イラン最高指導者のハメネイ師がロシアのウクライナでの軍事行動を正当化してNATOを非難したりするなど、イランとロシアの結束が目に見えて強くなっているのと比較すると、トルコの両国との間には明らかに溝がある。

西側諸国からも、トルコはNATOの重要な局面で自国利益のため恐喝外交に打って出る信頼できない国と見なされつつある。ロシア、イランの大統領と共に笑顔で写真に納まるエルドアンについてドイツのベアボック外相は「理解し難い」「控えめに言っても難題だ」と苦言を呈した。

トルコは西側と中国、ロシア、イラン陣営のどちらの味方でもあるように振る舞いつつ、どちらからも望む成果を得られていない。

かつて鳥と獣が対立していたとき、コウモリは鳥に対しても獣に対しても仲間のふりをしたが故に、両者の和解後はどちらからも嫌われ仲間外れにされた――というイソップ童話をトルコ外交は彷彿させる。それが奏功するのか、はたまたコウモリのごとく双方から信頼を失い嫌われて孤立するのか。いずれおのずと結論は出よう。

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プロフィール

飯山 陽

(いいやま・あかり)イスラム思想研究者。麗澤大学客員教授。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。博士(東京大学)。主著に『イスラム教の論理』(新潮新書)、『中東問題再考』(扶桑社BOOKS新書)。

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