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スーダン退避は「黒い関係」の果実
スーダンを脱出してヨルダンに到着した避難民(4月24日) ALAA AL SUKHNIーREUTERS
<国際関係の現実はきれい事では済まない。フェアでもクリーンでもない関係の「おかげ」で、命拾いをすることもある>
国軍と準軍事組織・即応支援部隊(RSF)の戦闘により治安情勢が急速に悪化したスーダンから、在留日本人67人が国外へと退避した。これに先立ち日本政府は、ジブチに自衛隊機を派遣したのに加え、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)に日本人の安全確保のための協力を要請、退避完了後には両国に謝意を表明した。
サウジとUAEはイギリス、アメリカと共に、2021年以来軍政下にあるスーダンの民政移管を進める4カ国グループ(クアッド)を構成する。なかでもスーダンに対し、特に大きな影響力を持つのはUAEだ。
UAEは過去数十年にわたりスーダンの主要な援助国であり続けてきた。政府系のアブダビ開発基金(ADFD)によると、同国は1976年以来スーダンに援助、投融資を提供しており、その範囲は農業、鉱業、銀行業、ホテル業など多岐に及ぶ。22年6月にはUAEがスーダンに60億ドルの投資支援を行うことで合意したとロイター通信が報じた。この取引を行ったのは国軍司令官アブデル・ファタハ・ブルハンだ。うち40億ドルは紅海の新港建設に充てるとされる。
UAEがスーダン軍とRSFの兵士を「傭兵」化してきた経緯もある。
UAEとサウジは15年、アラブ連合軍の基幹メンバーとしてイエメン内戦に参加したが、多数の兵士を動員したのはスーダンであり、その数はイエメン戦争のピーク時には4万人以上に達した。UAEは18年、RSF率いるモハメド・ハムダン・ダガロに多額の報酬を支払い、RSFの兵士数千人をイエメンに動員したとされる。
現在、スーダンで展開されているのはブルハンとダガロの権力闘争だ。RSFは13年、当時の大統領オマル・バシルを守る「親衛隊」として結成され、ダガロがその司令官となったものの、19年に彼はブルハンと結託してバシルを失脚させた。民政移管に向けRSFを国軍に統合する問題が争点になるなかで発生したのが、今回の戦闘だ。
スーダンは中東とアフリカの結節点に位置し、紅海に面した要衝であるだけでなく、天然資源の豊富な国でもある。その1つが金であり、金鉱の約4割はダガロの支配する西部に集中している。年間数十億ドル相当とされる金のほとんどはUAEに輸出され、ダガロはそこから巨万の富を得ていると報じられる。彼はほかにも家畜、不動産、民間警備会社などを保有し、リビア経由での「人身売買」にも関与しているとされ、その資金の多くはUAEで管理されていると、米ニューヨーク・タイムズ紙などが報じた。
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