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イスラム分離主義と戦うマクロンは「極右」でも「植民地主義者」でもない
殺害された中学教師の追悼式典に出席するマクロン FRANCOIS MORI-POOL-REUTERS
<新法案で過激派によるテロ問題解決を目指し、同時に「イスラム教徒の孤立を許したのはわれわれであり、イスラム教徒を責めてはならない」と強調する仏首相を強く批判する国が現れた>
フランスのマクロン大統領は10月2日、「イスラム分離主義と戦う」と宣言し、年末までに新たなイスラム過激派対策法案の閣議提出を目指すと演説した。
イスラム分離主義とは「フランス共和国法を無視しイスラム法に従うイデオロギー」の意だ。フランス国内には分離主義に支配された「並行社会」が既に存在する、イスラム教徒を社会に統合しない限り過激派問題の解決はない、とマクロンは述べた。
フランスは約600万人という西欧有数のイスラム教徒人口を擁する国である。仏世論研究所が9月に公表した調査では、25歳未満の在仏イスラム教徒の74%がイスラム教の信念は共和国の価値より重要だと回答している。イスラム分離主義の脅威は単なる杞憂ではない。
マクロンはフランスを統合するのは世俗主義という「セメント」だと述べ、「フランスは宗教の名の下に道を踏み外す人々と戦うことを迫られている」と断じた。世俗主義と共和主義の強化を目指す新法案は、3歳からの学校通学の義務化、イスラム教指導者の国内での育成、分離主義の疑いのある組織や個人への監視強化などを含む。マクロンは、イスラム教徒の孤立を許したのはわれわれであり、イスラム教徒を責めてはならないと強調したものの、これを強く批判する国が現れた。
トルコである。
トルコとフランスは共にNATO加盟国だが、フランスはトルコのリビア内戦介入や東地中海の資源探査を非難。それ以前もマクロンがNATOを脳死状態と評し、トルコのエルドアン大統領がマクロンこそ脳死状態と返すなど対立が続いている。エルドアンは今回のマクロンの演説も「植民地の知事のよう」で無礼かつ挑発的だと非難し、トルコ与党AKPのオメル・チェリキ報道官もイスラム教を攻撃する反民主主義の極右だとツイート。アルジャジーラも、世界中のイスラム教徒がマクロンに怒り極右への迎合だと非難していると報道した。
他方、サウジアラビアを拠点とするムスリム世界連盟(MWL)のムハンマド・アル・イーサ事務局長は、「もしわれわれが彼ら(過激派)を擁護すれば、われわれは彼らと同じであることを意味する」と述べ、暗にマクロンの方針を支持した。MWLは昨年5月、139カ国1200人以上のイスラム教指導者と共に、過激派や暴力と戦い宗教的多元性促進を目指すと宣言するメッカ憲章を採択している。
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