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ウクライナ侵攻から1年、世界の半分以上はウクライナを支持していない
プーチン大統領は2月21日、ウクライナ侵攻1年を前に年次教書演説を行った Sputnik/Sergei Savostyanov/REUTERS
<ウクライナ侵攻後1年振り返り、各機関のレポートを読んでみた......>
ウクライナ侵攻から1年ということでデジタル影響工作と関連する複数の機関が振り返りレポートを公開していた。まずは次の地図をご覧いただきたい。軍事力、経済力を持つ国々の多くはウクライナを支持しているが、それ以外の国ではそうではない。人口や国の数ではウクライナ不支持の国の方が多いのだ(行動を起こさないという意味において)。
日々、ロシア非難とウクライナ支持のニュースに囲まれている日本の多くの人には意外かもしれないが、10以上の専門機関のレポートを読んだ限りでは、ロシアが情報戦で負けたあるいは劣勢であると書いてあったものはなかった。そもそも勝敗に言及していないものがほとんどだが、言及しているものは双方がそれぞれの領域で成功していると分析している。我々が日頃接しているニュースなどの情報がいかに偏っているかがよくわかる。
レポートおよび関連資料や記事まで含めて30以上を読むと大きくデジタル影響工作について3つのことがわかる。
1.ロシアが負けたことを明言している専門機関のレポートはない。TIME誌などメディアの記事では存在する。
2.我々から「見えない領域」でロシアは成功している。
3.デジタル影響工作は幅広い領域と連動、関連している。
ロシアとウクライナはそれぞれの領域で成果をあげていた
日本はウクライナ支援国で、アメリカの同盟国である。その情報のほとんどは欧米、グローバルノース主流派、特にアメリカからもたらされる。その範囲ではロシアは劣勢であり、我々の陣営は優勢だ。
逆にロシアは我々の陣営から見えるところにもデジタル影響工作を仕掛けているが、その他にも仕掛けている。その他とは世界人口および国数の圧倒的多数を占めるグローバルノースだ。グローバルサウスに触れているレポートでは、ロシアの影響力が大きいことを認めている。
我々の情報空間にはゼレンスキーが各国でオンライン演説をしたり、支援国の元首がキーウを電撃訪問するニュースが流れてくる。その一方で(日本のニュースではほとんど流れないが)、ロシアのラブロフ外相はアフリカと中東の9カ国を訪問して歓迎された。南アフリカでは、パンドール外相がロシアを「友人」と 呼んだ。南アフリカ海軍はロシア、中国とインド洋で合同演習を行い、インドとロシアの貿易は400%増加した。ロシア発信の(我々から見ればデマ)ニュースはこれらの国で人気がある。
グローバルサウスの態度に関するグローバルノース主流派の勘違いは、ブルッキングス研究所のレポートの次の言葉が象徴している。
ロシアのウクライナ侵攻以来、アフリカ、アジア、ラテンアメリカ、太平洋地域の多様な国々を含む「グローバル・サウス」は、「塀の上に座っている」(傍観)と見られてきた。
しかし実際は単に傍観していたわけではなかった。グローバルサウスにはグローバルノースに対する根深い不信感があったのだ。グローバルノースの国々(特にアメリカ)は自国の都合が他国を非難し、制裁してきた。その勝手なご都合主義に付き合わされるわけにはいかない。今回さまざまな専門機関の1年振り返りレポートを取り上げているが、これ以外にもグローバルサウスとグローバルノース主流派の分断が深まったことを指摘するレポートは多い。
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