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米中国間でバランスを取って生き残る時代──EUと中国が締結した包括的投資協定の持つ意味
新しい世界のバランス
前掲のThe Diplomat(2021年1月4日)は、バイデン就任の前に合意を達成し、アメリカとEUの関係に亀裂を入れ、EU内部に不協和音をもたらしたのは中国の成功だったとしている。仮に欧州議会で批准されなかったり、実効性に乏しくても充分中国にとっては意味があった。
ただし、トランプ政権では対中国でEUとうまく協調できていなかったが、バイデン政権に変われば協調できる可能性があると指摘しており、今回の包括的投資協定によってEUとアメリカが手を組んですぐにEUを巻き込んで強硬な対中国施策を実施することは難しくなったものの、その後、対中国でEUとアメリカが強く手を結ぶ可能性があることも示唆している。
とはいえイタリア、ポーランド、ギリシャはすでに中国の推進する一帯一路に参加し、中・東欧17か国には中国と経済協力の枠組みがある。ドイツも経済的に中国に依存している。経済関係で中国から離れることは難しい。
ルーマニアで中国が請け負うと思われていた原発がアメリカに変わるなど、個々の国でアメリカとの関係を強化する動きは出てきているが、部分的にアメリカとの関係を強化することはあっても、アメリカと協調して中国を排除する可能性はほとんどないということを今回の包括的投資協定は見せつけたと言える。これからはアメリカと中国の双方と手を結び、バランスをとってゆく世界になる。日本もその渦中にいる。
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