コラム

フェイスブックのコンテンツ監視員の職場は「搾取工場」――元監視員が激白

2019年06月25日(火)15時45分

一方、バージの記事によると、フェイスブックで非正規労働者の管理に当たる男性幹部はニュートン記者の取材を受け、増加している非正規労働者の生活水準を徐々に高めていきたいと返答し、同記者は、その対応に、ひとかたならない誠実さを感じたという。

フェイスブックのホームページには、同社の経営理念として、「人々にコミュニティー構築のパワーを与え、世界の絆を強めること」とある。「ユーザーはフェイスブックを使って友達や家族とつながり、世界で何が起こっているかを発見し、自分たちにとって重要な事柄を共有・表現する」と。

数々のスキャンダルで、収益のために個人情報の保護などをないがしろにしてきたことが報じられ、フェイスブックへの批判や解体論が渦巻く中、こうした建前を信じるユーザーは、もはやほとんどいないだろう。人工知能(AI)が微妙な判断を完璧にこなせるようになるまで、コンテンツ監視員はフェイスブックの評判を左右する重要な存在だ。さらなる逆風を食い止めるためにも、ザッカーバーグCEOの本気度が試されている。

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※7月2日号(6月25日発売)は「残念なリベラルの処方箋」特集。日本でもアメリカでも「リベラル」はなぜ存在感を失うのか? 政権担当能力を示しきれない野党が復活する方法は? リベラル衰退の元凶に迫る。


プロフィール

肥田 美佐子

(ひだ みさこ)ニューヨーク在住ジャーナリスト。東京都出身。大学卒業後、『ニューズウィーク日本版』編集などを経て、単身渡米。米メディア系企業などに勤務後、2006年独立。米経済・雇用問題や米大統領選などを取材。ジョセフ・スティグリッツ、アルビン・ロスなどのノーベル賞受賞経済学者、「破壊的イノベーション」論のクレイトン・クリステンセン、ベストセラー作家のマルコム・グラッドウェルやマイケル・ルイス、ビリオネアAI起業家のトーマス・M・シーベル、ジム・オニール元ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント会長など、米(欧)識者への取材多数。元『ウォール・ストリート・ジャーナル日本版』コラムニスト。『週刊東洋経済』『経済界』に連載中。『フォーブスジャパン』などにも寄稿。(mailto:info@misakohida.com

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