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中国の報復関税、米国産大豆に大打撃へ ブラジル産に追い風

2025年04月07日(月)12時33分

 4月4日、トランプ米大統領の「相互関税」に対して中国が、報復措置を発表したことで、中国は農産物の輸入元を米国からブラジルなど他の国々に切り替える動きを加速させ、特に米国の大豆輸出が大打撃を被りそうだ。写真は米イリノイ州の大豆農場で昨年5月撮影(2025 ロイター/Jim Vondruska)

[北京/シンガポール 4日 ロイター] - トランプ米大統領の「相互関税」に対して中国が4日、報復措置を発表したことで、中国は農産物の輸入元を米国からブラジルなど他の国々に切り替える動きを加速させ、特に米国の大豆輸出が大打撃を被りそうだ。

中国は3月に発表した米農産物への10―15%の関税に加え、米国からの全ての輸入品に34%の関税を課すと発表した。

シカゴのプライス・フューチャーズ・グループのバイスプレジデント、ジャック・スコビル氏は「これは米国の輸出ビジネスに多大な損害をもたらすだろう。米国はあらゆる国を怒らせている。これは問題だ。全ての国に関税を叩き付けたら、頼る先がなくなるではないか」と困惑する。

シカゴ商品取引所(CBOT)では4日、大豆先物の指標銘柄が前日比3.4%下落し、年初来安値を付けた。

シンガポール在住の穀物トレーダーは「米国からの農産物輸入をすべてストップするようなものだ。34%もの関税を課されて多少なりとも輸入が成り立つかどうか定かではない」とあきれる。

ある欧州の穀物トレーダーは、欧州連合(EU)も米国産大豆に関税を課す可能性が高いと指摘。「問題は大豆だ。米国産大豆の新たな収穫期前に契約が成立しなかったらどうなるか、というのが大きな心配事になっている」とし、「大局的な結論として、この貿易戦争は米国の農業にとって逆風で、他の全産地の農産物にとって追い風だ」と言い切った。

中国が3月に発表した関税により、米国産大豆からブラジル産へのシフトは既に加速している。

ラボバンクの農業市場調査責任者、カルロス・メラ氏は「ブラジルが圧倒的に最大の受益者になり、中国向け大豆の輸出で米国に代わる最大の供給国となるだろう。しかし、アルゼンチンやパラグアイなど、他の国々にも恩恵が及ぶ可能性がある。小麦については、オーストラリアとアルゼンチンが恩恵を被るだろう」と話した。

ロイター
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