豪雇用、2月は予想外の減少 5月利下げ観測高まる

オーストラリア統計局が20日発表した2月の雇用統計では、就業者数が予想外に減少し、労働市場の逼迫が緩和する兆候を見せた。シドニーで12日撮影(2025年 ロイター/Hollie Adams)
Stella Qiu
[シドニー 20日 ロイター] - オーストラリア統計局が20日発表した2月の雇用統計では、就業者数が予想外に減少し、労働市場の逼迫が緩和する兆候を見せた。金融市場では、オーストラリア準備銀行(中央銀行)の5月利下げ観測が強まった。
2月の就業者数は前月比5万2800人減少。市場予想は3万人増加だった。1月は3万0500人増加に下方改定された。
就業者数の前年比伸び率は1.9%で、1月の3.5%から大きく減速した。ただ長期平均とは一致する。
労働参加率は66.8%で、過去最高だった1月の67.2%から低下した。
失業率は1月と同じく4.1%で市場予想と一致した。
統計局は、新年休暇明けにより多くの人が職場復帰するという予想に反して、年齢が高い層の復帰が少なかったと指摘した。
先月、約4年ぶりに利下げした豪中銀は、労働市場の強さがインフレを押し上げるリスクがあるとして追加利下げの言質を与えなかった。
2月の統計を受け、スワップ市場では4月1日の利下げ確率は10%程度にとどまるものの、5月の確率は70%から78%に上昇した。
オックスフォード・エコノミクス・オーストラリアのマクロ経済予測責任者ショーン・ラングケイク氏は、退職が近い年齢層の就業者減少は、需要減少の兆候というより、年齢が高めの働き手が労働市場から退場したためとの見方を示し「労働市場は依然タイトな状況だ」と述べた。
インフレ押し上げ要因となる賃金の上昇は、昨年第4・四半期に約2年ぶりの穏やかな伸びに減速した。
ITCマーケッツのシニアFXアナリスト、ショーン・キャロウ氏は「豪中銀は労働市場の強さに起因する賃金の大幅上昇リスクを気にしていたが、さほど心配する必要はなかったように思える」と述べた。
一方、ANZは、今回の統計が豪中銀の政策検討に多大な影響を与えることはないとみる。「全体的に強い傾向の雇用の伸び、低い失業率、高水準の求人など、労働市場のファンダメンタルズ(基礎的条件)は引き続き堅調だ」と顧客向けノートで述べた。