ニュース速報
ビジネス

米との貿易戦争、ユーロ圏のインフレ率上昇し成長は減速へ=ECB総裁

2025年03月20日(木)18時55分

 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、米国との全面的な貿易戦争が起こればユーロ圏経済は大打撃を受け、インフレが急上昇する可能性があるとし、解決策は貿易の統合を強化することだと提言した。パリで2024年1月撮影(2025年 ロイター/Stephanie Lecocq)

[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のラガルド総裁は20日、米国との全面的な貿易戦争が起こればユーロ圏経済は大打撃を受け、インフレが急上昇する可能性があるとし、解決策は貿易の統合を強化することだと提言した。

ラガルド総裁は欧州議会の経済金融委員会で、米が欧州からの輸入品に25%の関税を課せば、初年度にユーロ圏の成長率を約0.3%ポイント下押しする見込みだが、報復措置を取ればそれが0.5%ポイントに拡大する可能性があると指摘した。

「短期的には、欧州連合(EU)の報復措置と、米国の欧州製品に対する需要低下によるユーロ安により、インフレ率を約0.5%ポイント押し上げる可能性がある」と述べた。「中期的には、経済活動の低下に伴いインフレ圧力が弱まるため、影響は緩和される」と予想した。

ただいかなる想定にも「相当な」不確実性があると強調した。

その上で、ECBとしては「警戒」を怠らず、物価安定のために行動する用意があるとした。次の行動はまだ決めておらず、会合ごとに決定していくと説明した。

ラガルド総裁は、貿易の統合を進めることが貿易戦争の解決策となり得るとし、それによって米国の措置による悪影響を相殺することも可能との見方を示した。

「ECBの分析によると、他国とのより緊密な統合は、報復措置を含む一方的な関税による損失を相殺する以上の効果をもたらす可能性がある」とし「その場合、孤立主義的な政策をとる国だけが損失を被ることになる」と述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=小反落、売り買い交錯 経済・関税見通

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、利下げ急がずのFRB発言を

ワールド

米、ウクライナとの鉱物資源協定に近く署名へ=トラン

ワールド

カナダ、4月28日に早期総選挙も カーニー首相が表
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平
特集:2025年の大谷翔平
2025年3月25日号(3/18発売)

連覇を目指し、初の東京ドーム開幕戦に臨むドジャース。「二刀流」復帰の大谷とチームをアメリカはこうみる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャース・ロバーツ監督が大絶賛、西麻布の焼肉店はどんな店?
  • 4
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 5
    「気づいたら仰向けに倒れてた...」これが音響兵器「…
  • 6
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 7
    医師の常識──風邪は薬で治らない? 咳を和らげるスー…
  • 8
    ローマ人は「鉛汚染」でIQを低下させてしまった...考…
  • 9
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 10
    DEFENDERの日本縦断旅がついに最終章! 本土最南端へ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研究】
  • 4
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 5
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
  • 6
    失墜テスラにダブルパンチ...販売不振に続く「保険料…
  • 7
    【クイズ】世界で2番目に「レアアース」の生産量が多…
  • 8
    「気づいたら仰向けに倒れてた...」これが音響兵器「…
  • 9
    古代ギリシャの沈没船から発見された世界最古の「コ…
  • 10
    自分を追い抜いた選手の頭を「バトンで殴打」...起訴…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 10
    「若者は使えない」「社会人はムリ」...アメリカでZ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中