気候変動対策の銀行組織が規約変更か、1.5度以内目標削除も

温室効果ガス排出量の正味ゼロを目指す銀行間の国際組織「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」が加盟規約の見直しを巡り、新たに意見を詳細に募っていることが分かった。大手行の相次ぐ脱退や、気候変動対応が実体経済の現状に見合わないほど高い目標を掲げていることが背景にある。写真はフランスにある石炭火力発電所の煙突から出る排ガス。2022年1月撮影(2025年 ロイター/Stephane Mahe)
Virginia Furness Simon Jessop
[ロンドン 12日 ロイター] - 温室効果ガス排出量の正味ゼロを目指す銀行間の国際組織「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」が加盟規約の見直しを巡り、新たに意見を詳細に募っていることが分かった。大手行の相次ぐ脱退や、気候変動対応が実体経済の現状に見合わないほど高い目標を掲げていることが背景にある。
NZBAは現在、アラブ首長国連邦(UAE)に拠点を置くファースト・アブダビ銀行が会長行。同行で担当する最高サステナビリティ責任者兼エグゼクティブ・バイスプレジデント、シャルギール・バシール氏がロイターの取材に明らかにした。各行への通知は11日夜に行ったという。同氏は内容の詳細には言及しなかった
ただ事情に詳しい関係者が匿名を条件に語ったところによると、各行への通知には規約見直し提案があり、その中には「融資案件では、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑える目標と整合させる必要性」という部分を撤廃する案が含まれている。
NZBAは1年以上前から規約の見直し作業を進めてきた。ただ、気候変動対策に懐疑的なトランプ米大統領が昨年11月に再選を決めて以降、風当たりは一段と強まった。既に米国の6大銀行全てが脱退し、その後はオーストラリアやカナダのほか、日本の大手行の一角が追随した。